一 ページ5
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気付いたときには、知らない部屋の中だった。
もっとも、そこが知らない部屋だと わかったのは、墨の匂いがしなかったからである。
私は書道部に所属しており、自分の家でも自主的に練習しているので、私の部屋には仄かに墨の香りが漂っているのだ。
ボー……っと、何も考えずに、ただ天井を見つめること数十分。
――かなりの時間差で頭が働き始め、ようやくハッとした。
ここはどこ……！？
ていうか、私、跳ねられた……ん、だよね？
一瞬だったから、よく覚えてないけど……でも たぶん、跳ねられたんだと思う、あの時。
……ということは、ここは病院？
だとしたら、随分 和風な病院だ。
こんなお洒落な病院、近所にあっただろうか。
とりあえず、周りの様子が知りたくて、身体を起こそうとしたら、ズキィッ！！ と、背中に鋭い痛みが走った。
「うぁ……っ！」
思わず、口から呻き声がもれる。
その あまりの激痛に、すぐさま起き上がるのを諦めた。
……あぁ、もう。
“泣きっ面に蜂”とは、まさにこのこと。
大好きなキャラの悲報に 心がボロボロになっているときに、交通事故とは。
涙で歪む視界を、そっと閉ざした。
……そのとき。
ギ、ギッという木の床が軋む音が、だんだんとこちらに近付いてくることに気付いた。
お医者様かな。
それとも、お父さんかお母さんだろうか。
……ああ、2人には心配かけちゃったな。
もしお父さんたちだったら、ちゃんと謝らないといけないな。
そんなことを思いながらも 目を閉じていると、ついに足音はこの部屋の前で止まり、スルスルと障子戸が開かれた。
それに合わせて、私は目を開ける。
次の瞬間、視界に映った人を見て、私の心臓は大きく飛び跳ねた。
――お館様っ！！ と、心の中で叫ぶ。
が、直後にハッとした。
……お館、様？
って、誰だ……？
――待って、私は知ってる！ わかる！
大切な
どんなに つらくても大変でも、
私に 勇気を、感動を。
与えてくれた大切な……！！
何だっけ何だっけ！？ ――思い出せ！！
自分でも、どうして こんなに焦っているのか、とは思った。
だけど、今すぐ思い出さなければ、その記憶は永遠に失われる気がして、そんな疑問は、湧いた瞬間に投げ棄てた。
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黒渦クレナ(プロフ) - 時桜ミクさん» ありがとうございます！ 嬉しいです！ 文字打つの遅いですが、頑張ります！ (2020年3月8日 13時) (
レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
時桜ミク - 続き楽しみです！頑張ってください！読みます！ (2020年3月8日 10時) (レス) id: 0faa6f99b8 (このIDを非表示/違反報告)
黒渦クレナ(プロフ) - 眞由さん» ありがとうございます！ まさか、わかってくださる方がいらっしゃるとは…！ すごく嬉しいです(泣)。更新 頑張ります！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
眞由 - とても続きが気になります。夢主ちゃんの気持ちがとても分かります。更新頑張ってください。 (2020年3月7日 21時) (レス) id: 9566cb15d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒渦クレナ | 作成日時：2020年3月7日 21時
