一二 ページ16
「あっ、いや、そんなことない！ 合ってるよ！」
慌てて時透くんの方に向き直る。
「私のこと、覚えてくれて……嬉しくて。でも、ちょっと吃驚しちゃったの」
言いながら、室内に入って襖を閉めた。
「だって、私、時透くんが起きてるときに ここに来るの、3日ぶりだよ？ わー、ホントに嬉しい！ ありがとう。覚えてくれて」
満面の笑みで私がそう言うと、時透くんは眉を寄せた。
「……そんなに嬉しい？ こんなことが？」
「嬉しい！ 嬉しいに決まってるよ！」
なおも訝しげな表情の時透くんに、私は先ほど買ってきた折り紙を見せた。
「今日はね、折り紙 持ってきたの！ 時透くん、折り紙 得意でしょ？」
「……僕、そんなこと言ったっけ」
言われて、ハッとする。
そうだった……！
うっかり口が滑った……！
「……え、えーっと、この前、そんな話をした、から……」
苦し紛れの思いつきで誤魔化すと、時透くんはなんとか納得してくれた。
「……これ、どう使うの？」
と、時透くんが問う。
まさかの知らないパターン……。
……でも、そりゃそうか。
記憶を失ってるのに、折り紙のことだけ覚えてるわけないか。
あるいは、彼はまだ折り紙を知らない、という可能性もある。
．
．
時透くんの怪我もだんだん回復してきたので、面会の時間も日に日に長くなっている。
今のところは、一日に一刻――約2時間、面会できるようにまでなっているのだ。
折り紙を折り始めて半刻後。
「ま、負けました……」
折り紙の腕前は、すでに時透くんの方が圧倒的に上回っていた。
さすが時透くん。
折り方も丁寧だし、センスがとても良い。
私も、けっこう頑張ってはいるんだけど……、時透くんには到底及ばない。
そして、一生懸命 折り紙を折っている時透くんがとても可愛い。
おかげで、今朝の疲れが吹っ飛んだ。
「すごいね……！ そんなに飛ぶ紙飛行機、初めて見たよ」
しかし、時透くんは表情を暗くして俯いた。
「……どうしたの？ もしかして具合悪い？」
心配してそう言うと、時透くんは顔を上げた。
「……僕は 何回、Aを忘れた？」
唐突な質問に、私は答えられなかった。
時透くんは話し続ける。
「毎日 来てるんでしょ、ここ。……Aは仕事あるし、暇じゃないよね？ 今だって、すごく疲れた顔してる。……なのに。
なんでそんなに人に構うの？」
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黒渦クレナ(プロフ) - 時桜ミクさん» ありがとうございます！ 嬉しいです！ 文字打つの遅いですが、頑張ります！ (2020年3月8日 13時) (
レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
時桜ミク - 続き楽しみです！頑張ってください！読みます！ (2020年3月8日 10時) (レス) id: 0faa6f99b8 (このIDを非表示/違反報告)
黒渦クレナ(プロフ) - 眞由さん» ありがとうございます！ まさか、わかってくださる方がいらっしゃるとは…！ すごく嬉しいです(泣)。更新 頑張ります！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
眞由 - とても続きが気になります。夢主ちゃんの気持ちがとても分かります。更新頑張ってください。 (2020年3月7日 21時) (レス) id: 9566cb15d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒渦クレナ | 作成日時：2020年3月7日 21時
