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「血が止まらなくてびっくりしたわ」
本家の自室で、私は膝の上に乗る猫を撫でくりまわしていた。
あの後私が気を失っている間にやってきた治療師のおかげで、血は止まったそうだ。痛々しい包帯は付けたままだけれど……。まだ少し赤が滲んでいる。
しばらく動くなと絶対安静を強いられ、寝台から出られない日々が続くと、浅い眠りのせいで夢を見る回数も増える。
いつも見る赤い夢を鮮明に思い出したあたりで、小さい頃の自身の不思議な言動を一緒に思い出したのだ。
私は小さいころよく赤い糸が見えるだなんて言って人を困らせていた。
実のところ、私は血友病で血がなかなか止まらない体質なのだ。
血なんて見慣れないお嬢様であったので、薔薇を切る際にハサミでけがをしたり刺繍糸でひっかいてしまったり……そんな些細なことですぐに生命の危機に陥るものだから、すっかりと憔悴した私はまだ幼かったこともあり赤い糸という幻想を作り出した。
そして、あるお茶会の時に薔薇のとげでけがをした私は、
「ご令嬢、何を見ていたのですか？」
「薔薇の指輪を見ていましたの」
「ほんとだ……素敵な指輪ですね」
そんなことまで相手に言わせてしまったのだ。
あまりにもな出来事なので心の奥底に無意識にしまっていたとしたら、なかなかいい仕事をしたのではないだろうか。
だって、そうじゃなきゃ幻視癖のある令嬢になんとか話を合わせてくれた”幼き日のゼンくん”に店で出会ったときにまともに顔なぞ合わせられなかっただろう。
彼が覚えているかは微妙だが、思い出した私の精神状態はそこそこよろしくなかった。
「ねえ、本日のお昼頃姉様が帰ってくるのでしょう？」
窓を開けている侍女に話しかけると、まだ若い侍女が薔薇色の頬を緩めながら笑った。
「はい、A様のお見舞いだそうです……そういえば、お手紙と共に焼き菓子が送られてきましたので、お茶に致しましょうか」
「ええ、頼んだわ」
「承知致しました」
姉様に会えたら昔のことを聞いてみましょうか。
私が風の心地良さに目を細めていると、膝にいたはずの猫が胸元に登ろうとしていた。
「レースにひっかかるわよ……いたた」
ネグリジェの胸元にあしらわれたレースに爪が引っかかっている。阿呆猫ね、とそっと爪を外してやっていると、枕元に新しく手紙が置かれる。
「これは……？」
「王城からA様に……第二王子より直々の招待状がおって届けられました」
私は、心臓が止まるかと思った。
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黒髪の白雪姫 - 天泣tenkyuさん» 返信ありがとうございます♪(〃^ー^〃)もちろんです！ゆっくり大丈夫です！更新がんばって下さい！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (
レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» コメントをいただけてとてもうれしいです！このとおり更新は遅いですがしっかりと構想を練り完結させたいと思っておりますので最後までよろしくお願いします！ (2018年2月3日 12時) (レス) id: 6a5dbc60dc (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - 初コメです！凄くおもしろいです！更新がんばって下さい！ (2018年2月2日 17時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣tenkyu | 作成日時：2017年9月18日 6時
