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「A！」
厨房にいると、後ろからおじい様が抱きしめてきた。頭をわしゃわしゃと撫でられ、苦しいほどに腕に力が入っている。おじい様の方が私よりも大声で泣いていて、菓子職人だけれど元騎士なだけあって熊みたいだわ。
ちょっと冷静になれたかもしれない。
「おじい様、私は大丈夫です」
「お前を襲ったヤツらはわしとオビくんで絞めておくからな」
「おじい様が言うと洒落にならない気がします！」
おじい様の背中を叩いて離してもらうと、くらい表情をしたおじい様がいたましそうに私の首の傷を見ている。
「……A、もう帰りなさい」
「え……と？」
帰ると言われても、ここに住んでいるのだけれど。まさか、おじい様もうぼけてしまわれたのかしら。
首の傷がずきりと痛む。
「ロッソが帰ってこいと言っていた」
「おばあ……様が？」
「もう十分学べただろうとな、国外をまわるのについてこないかと」
国外をまわるなんて、いつ帰って来れるかもわからないわ。それに、この喫茶店にだって思い入れがある、せめてあと半年くらいは。
「お前のことを狙う者はそれなりにいる、ロッソの商会はでかい、後継者を自分の手の内に入れたいものも多い」
「でも、オビがいるわ」
「それでもだ、ロッソはお前を魔の手から逃がそうとしている。商会を正式に継がせるまでの間な」
おばあ様が、私を認めてくださった。商会を継げると判断された……。
でも、ここを離れることに大きな心残りがある。
胸につっかえて、出てこようとしているけれど、声に出してはいけないってわかっている。
ゼンくん達と離れたくない。
商会を継ぐのは夢だけれど、まだもう少しくらいと願ってしまう。
「商会を取れ」
「……っ」
「今度の夜会が最後だ、遠出の準備を済ませておきなさい」
私を思ってのおじい様の言葉が、私に突き刺さって、思わずエプロンを握りしめてしまう。
「Aさん」
入口には、ゼンくんが立っていた。優雅に礼をしたかと思えば、ゼンくんの口は言葉を紡ぐ。
「今度の夜会で、お会いすることを楽しみにしております」
なぜ、ゼンくんまでそう言うの？
私の居場所はここなのに、まだここにいて、ゼンくん達と話していたいのに。
「それがあなたのためです」
なんで、そんな突き放したことを言うの？
「……ぁ＿＿＿＿？」
立っていられない。
赤がチラつく。
おじい様と、ゼンくんが焦っている。
赤がチラつく。
私はそのまま倒れ込んだ。
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黒髪の白雪姫 - 天泣tenkyuさん» 返信ありがとうございます♪(〃^ー^〃)もちろんです！ゆっくり大丈夫です！更新がんばって下さい！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (
レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» コメントをいただけてとてもうれしいです！このとおり更新は遅いですがしっかりと構想を練り完結させたいと思っておりますので最後までよろしくお願いします！ (2018年2月3日 12時) (レス) id: 6a5dbc60dc (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - 初コメです！凄くおもしろいです！更新がんばって下さい！ (2018年2月2日 17時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣tenkyu | 作成日時：2017年9月18日 6時
