吸血鬼少女は断固反社お断りしたい【梵天】

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『…ん、はっ』




頭がガクン、と下がり目を覚ます。当たりをキョロキョロと見渡すと辺りはもう真っ暗だった。




『やっと暇潰せるぞ……ってなんだこの紙』




手元にあった紙を見ると、「吸血鬼が昼間にすやすや寝てるのジョークかと思ったわおもろ」という恐らく同胞からの煽り手紙だったので迷いなく焼却処分にしてやった。


寝床がある吸血鬼は羨ましいな。わたしも家というものが欲しい。




『こんな満月がキレーな夜は、空のお散歩に決まってるな！！』




よいしょ、と立ち上がってビルの屋上の欄干に手を掛け、両足で柵の上に立つ。


自分、高所恐怖症とかじゃなくて良かったな。吸血鬼が高所恐怖症ってそれこそジョークだし。このビルが一体何階まであるかは知らないが、まぁそこそこ高い部類に入るだろう。


風を切りながら建物の屋上を飛び回るのはとっても楽しい。


コウモリみたいな羽を生やして飛ぶ同胞の方が多いらしいけど、アレはまぁまぁ体力を使うし、折角運動神経が抜群なんだからそれを活かさないなんて勿体ないのだ。




『人間がいっぱいだ、なんて言うんだったか、まるでナントカのようだっていう人間界のキャラが居たような居ないような』




3分間だけ待ってやる、とも言っていた気がする。でも忘れた。


そろそろ地上に下りよう、と思って地面に向かって勢いよく飛び込む。勢いよく、と言っても大きな音は出さないように、両足のつま先に衝撃を吸収させるように、だ。




『よし、いい着地！わたしが審査員なら100点満点あげちゃうレベルの…「な、なんだオマエ！？」』




ギギギ、と音がつくような感じで振り返る。まさか、まさか……。




『どわーーーっ！？』

「ギャーーーッ！？」

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