trick、おあ、トリート？ ページ7
"ハロウィン"の想区。
一年に一度解放される、ヒーローたちの楽園。
運命に縛られずに過ごせるとだけあって、ホワイトと白雪姫ももちろん訪れた。
「ホワイトちゃん、ハロウィンではね？
トリック・オア・トリート！って言って大人の人からお菓子を貰うんだって！」
「本当！
わたし、アップルパイが食べたいなあ〜」
「もー、いつも作ってあげてるじゃん」
話しながら歩いていると、一組の若い男女を見つけた。
男の方は金髪に青い服の高貴そうな青年で、女の方は、ピンクの髪によく似合う薄桃のドレスを着ている。こちらも高貴な印象だがまだあどけなさを感じる。
なにやら、「愛しているわ！」「僕もだよ！」とハロウィンとは全く関係ないことを言い合っている。
「わたし知ってる。
白雪ちゃん、あれバカップルっていうんだよ」
「…行こっか」
また少し歩くと屋根の上で猫が寛いでいる。
でもあの猫、妙にお洒落なようだ…
「よっ！
こんばんは、お嬢さん方。
トリック・オア・トリート？」
じっと見ていると猫は降りてきてなんと話し掛けてきた。
「ふえっ！
喋った！？」
「えっと…
ごめんなさい！
お菓子持ってないです！」
そういうと、やけにダンディーな猫はなにやら黒い布を取り出し、「長靴を履いた猫からのいたずらだ、受け取ってくれ」と笑った。
２人に渡されたのは黒い猫耳のフード。
仮装を楽しんで欲しいという計らいだったのだろうか。
猫はほかにも、２人の歌姫と、仮面を付けた男性のところへ２人を案内し、たくさんお菓子をたからせてくれた。
花火が上がり、祭りの終わりが近づく。
「猫さん、ありがとうございました！」
「とっても楽しかったです！」
２人がお礼をすると、長靴を履いた猫は
「いいってことよ。
猫耳、似合っていたぜ、子猫ちゃん達」
と笑い、出会ったときのように屋根に登っていった。
HAPPY HALLOWEEN
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作者名：Reilu | 作成日時：2017年7月29日 23時
