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『さて、ザック。私が言いたい事は分かるか？』
レスターの亡骸を撫でていた手を止め言えば、ザックが息を飲むようにハッとして…次第に俯いていった。
ん？何で俯いて………あ。なるほど。
「ラビ、俺…っ」
ぎゅ。
何かを言いかけたザックを遮るように、小さな体を抱き締める。
ああ、やっぱりか。
でもなザック…そうじゃない。
今は、それよりも…
『生きていて良かった…心配したんだぞ』
生きてて、本当に良かった。
間に合って、良かった。
…間に合わせてくれて、ありがとう…レスター…
「…っ、…んで、だよぉ…」
『………』
「なんで、…何で、責めないんだよ！レスターは！俺のせいで！！」
『確かに、レスターは死んだ』
「っ、」
ぎゅぅ、と。
抱き締める力を少し強くする。
『でもそれは、お前のせいじゃない』
『勿論、レスターのせいでもない』
『生きていてくれたんだ。それだけで私は………責められる訳、ないだろぅ…っ』
「な、…なんだよ、それぇええ…っ」
二人してボロボロと涙を零す。
レスターのことは悲しい。
でもザックだけでも生きていてくれて嬉しい。
どうにもならないモノが、そこにあった。
私はまだ、一人じゃない。
「クソガァぁあアアアあアアああアアアｯ！！！！！！」
折れた木々の向こうから、がなり声と共に姿を現した男。
髪をボサボサに振り乱し、息は荒く、目は血走っており、怪我をしていた腕は折れたのかあらぬ方向を向き、全身の至る所に出来た切り傷からは血を流していた。
一目で分かるくらい…男は明らかにキレていた。
それはもう、視線だけでも人を殺せそうな程に。
その真っ赤に充血した目には憎しみと怒りが渦巻いており、悪鬼の使いと言われても否定出来ないような様相である。
「！ あいつ、まだ…っ」
『ふむ。やはり生きていたな』
「落ち着いてる場合かよ！」
腕の中であわあわとし始めたザックの頭を撫でて、私の体で遮るように下がらせる。
手には既に鎌を具現化済みだ。
その鎌を…男に向けて構える。
『お前の目的も、夢も、何もかもどうでもいいが……レスターを殺し、ザックまで手にかけようとしたんだ。死を持って償ってもらおうか』
言われた男は少したじろいで…しかし直ぐに目に怒りを宿し直すと、男もまた私に向け刃を構えた。
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作者名：白玉餅 | 作成日時：2018年5月24日 18時
