�� ページ8
「……ぁ"…っ、駄目だ、逝くな…レスター…、レスタァアアアｯ」
叫びながら揺するが、レスターはピクリともしない。
それどころか徐々に冷たくなっていくのを、触れた場所を通じて…嫌でも解らされた。
死んだ。
レスターは、今度こそ死んでしまった。
「レスター…、レスター…っ」
俺のせいだ。
俺が、弱かったから。
ボロボロと目から水が落ちていく。
それは、しょっぱくて…苦かった。
そんな風に悲しんでいても、何も変わりはしないのに。
「チッ、手間取らせやがって…」
男の苛立たしげな声に顔を上げれば、先程と少し違う場所があった。
「……その腕…」
まるで鋭い刃で裂かれたような傷が、男の右腕にあった。
爪痕だ。
そう…レスターの爪は、最後の最期で奴に届いていた。
「ハッ…てめぇみてーなガキ、片腕だろーと余裕だよ」
止血をする気が無いのか、腕からボタボタと血を流したまま近付いてくる男。
レスター…ごめん
折角庇ってくれたのに…やっぱ俺、もう駄目そーだ…
…ほんとうに、あきらめちゃうの？
知らない声が、聞こえた気がした。
小さい子供みたいな、でも知ってるような…そんな声が。
諦める…？
誰が？俺が？
……何で俺が、諦めなきゃなんねーんだ？
そうだ。何で座り込んでんだよ、俺。
思い出してみろ、アイツは本当に強かったか？
思い出してみろ、アイツは本当に早かったか？
思い出してみろ、アイツは本当に怖かったか？
知っている筈だ。
俺はもっと強くて、もっと早くて、もっと怖い奴を…知っている。
確かに、
アイツは俺より強い。
アイツは俺より早い。
でも
でも…ラビの方が、上だった！
「…え…なん…」
「あん？」
「お前なんか！ラビよりずっとずっと弱ぇ！！！！」
『うちの子に何をしているんだ貴様』
ゴッ！！！
形容し難い轟音と共に、男が木の葉のように吹き飛んだ。
代わりに現れたのは、白い髪に赤い目…そして頭部の捻れた角。
ラビだった。
「…ラビ！」
『探したぞ、ザック』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白玉餅 | 作成日時：2018年5月24日 18時
