暗黒大陸に住んでますがナニカ？(下) (ページ28)

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還御と忘却ページ28

ドサッ

「、ｯ…」

背中から全身に行き渡る衝撃に一瞬、息が止まる。

痛みに耐えながら視線だけ見上げれば、階段の上から見下ろす忌々しい女の姿。

女は暫く俺を見下ろしながら口を動かし、それから何処かへ行った。

声までは聞こえなかったが、どーせ化け物とか何とかだろう。

何時もの事だ。

……'何時も'？

「…、……？」

本当に何時も…こうだったか？

何だか、最近は違っていたような…
よく分かんねーけど、そんな気がした。

そんなこと、有りはしないのに。

「…ぺっ、…はっ…夢でも見てたってか？」

落ちた際に噛んだのだろう。
口の中でじわりと滲んできた血をツバと共に吐き捨てる。

気のせいだろう。
だって俺の環境は'昔から変わっていない'んだから。

クソッタレな孤児院、クソッタレな経営者の夫婦。

奴等は俺を扱き使う癖に、何も与えやがらない。
俺の他にも居たガキ共は…もう、みんな庭に埋まってる。

つい昨日まで居た、もう一人は…既に埋めさせられたから。

だから…俺が、本当に最後の一人。

もう随分と長い間、碌なものを食べれていないせいで骨が浮き出てる体。
相変わらず醜い火傷の痕。気色悪い色に変色した幾つもある打撲の痣。

何時も通りだ。