愛とアイ ページ15
ザックが消えた。
私の目の前で。
『……ザッ…ク？』
グチャリ、唖然としながらも目の前まで迫ったソレをそのまま踏み抜いた。
赤い赤い液体が飛び散って、汚い音がした。
でも、でも…
あの子は、居ない。
何処に行った？何処にやった？あの子は、どうして居ないの？何処？ザックは…
ザ ッ ク に 何 を し た ？
『ねぇ、あの子に何したの？』
腹を貫いた脚を抜き取る。
ヌメリとした感触が、気持ち悪くて仕方ない。
激痛からかゼヒゼヒと浅い息を繰り返すソレの頭を掴み上げ…顔を近付けてみたが、男の目は怯えに染まっていた。
男の口から響いてくる、ガチガチとした音が五月蝿い。
ああ、コイツはもう駄目だ。
『話さないとパプのとこに連れてくよ』
「っ」
人間達の間で怖がられてる存在の名を出せば、漸く反応した。
ああ、遅い。遅いなぁ。
さっさと話してくれないかな…
『どうするの？』
再度、首を傾げながら問いかければガタガタブルブルと気持ち悪く震えながらも口を開いた。
「ちくしょ…っあのガキ、邪魔しやがって…っ！」
『何処にやったの』
「し、知らねーよ！そこまでは、し、知らなっ、い！！」
『………ふーん？』
「あ、ああああっ、あが、ぎ、…っ⁈」
掴んだ頭に徐々に力を込めていく。
カマをかけてみたが、ザックは死んではいないようだ。
恐らくは何処かへ移動させる系の能力……だと思う。
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作者名：白玉餅 | 作成日時：2018年5月24日 18時
