酒は百薬の長-参 ページ12
帽子君に驚いて云われた。僕は如何もしていない。
まあ今回限りだろうし、太宰への愚痴を此の人と言い合うのも善いか。
「帽子君帽子君、其処まで太宰が嫌いかい?」
「誰が帽子君だ…否、聞かなくても判るだろ」
「帽子君…A好いセンスしてるね!」
「黙ってろ包帯!!」
「あれ、中也何歳だっけ? 17?」
「手前後で殺す」
「落ち着け、落ち着いて呑もう太宰。麦酒来たから」
僕が半ば無理矢理そう云うと、二人はぴたりと静かに成った。睨み合ってはいたけれど。
ぐいっと運ばれて来た麦酒を呷る。僕のそれを合図にし、太宰も呑み出した。
帽子君はぶつぶつと云い乍ら、荷物を纏めている。もう帰って仕舞うのか。
「帽子く…じゃなくて中原さん、もう帰るんですか」
「中也で善いぜ。まぁ、此奴と呑んでると呑んだ気しねェからな…」
呆れた様な冷めた様な目で僕達を見ると、ふらふらと千鳥足で行って仕舞った。もう少しゆっくり話したかったのに。
「あーあ、太宰の所為で行っちゃったじゃないか」
「わ、私と中也どっちが好いんだい!?」
「中也君好い人だったなあ」
「えっ」
向き合ったまま酒を呑み、そう云ってやった。すると太宰はがっくりと項垂れ、床に手を衝いて落ち込む。一々の反応が面倒くさいけど、面白くて笑える。
「あ、すいませーん。麦酒お代わり下さーい」
「はーい。彼氏さんは如何しますか?」
「此奴彼氏じゃないですよー厭ですね、只の同僚です」
「…いらないです…」
苦笑しつつ同僚だと告げれば、太宰は更に肩を落とす。水でも飲むかと店員さんが機転を利かせ、力なく頷いたのを見て、僕のジョッキを持って戻っていった。
「太宰。もう少し楽しく呑もうよ」
「……うん…楽しいよ…」
「嘘吐け手前」
麦酒と一緒に運ばれて来たおまけの枝豆を食べ、「ん〜」と呟いて頬を緩める。美味し過ぎか。
然し太宰は此方をちらと見るばかりで、復活する気配は微塵も無い。
美味しい枝豆に舌鼓を打っていると、店員さんが戻って来た。
「お冷とお代わり、お待たせしました〜」
「有難う御座いますー」
にこりと笑って受け取り、麦酒を一口。お冷は僕の目の前に在るが、取る気配が無いので僕が手に持って立つ。そして冷たいそれを、「おりゃ」と思い切り太宰の右頬にくっ付けた。
ばっと頬を押さえ、飛び退かれる。僕は笑ったまま、「冗談だよ」と云った。
そう、凡ては酒の所為。
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konoha(プロフ) - UN3245さん» 返信遅れてすみません…!改めて参加して下さりありがとうございます!見に来ました〜!これからも更新頑張って下さい!応援しています! (2016年5月24日 18時) (レス) id: 48215daa06 (このIDを非表示/違反報告)
UN3245(プロフ) - konohaさん» あああああごめんなさい…!!私もよく分からないのですが、URLってコピペじゃ駄目なんですかね…?(返信遅れて仕舞い済みません! (2016年5月23日 18時) (レス) id: fcb678c61b (このIDを非表示/違反報告)
konoha(プロフ) - UN3245さん» 本当に何度もすみませんが、私の所にイベント参加とも通知が来ていないので、もしかしたらUSBの何処かを間違えているかもしれません(私も初めて使ったのでよく分かりませんが;;)お手数掛けますがもう一度イベント確認お願いします!;; (2016年5月20日 17時) (レス) id: 48215daa06 (このIDを非表示/違反報告)
UN3245(プロフ) - konohaさん» あわわ、すみません!!もう一度申請してきます…! (2016年5月20日 11時) (レス) id: f0f77c2065 (このIDを非表示/違反報告)
konoha(プロフ) - ここで合っていますよね…?申請されていなかったので申し訳ないですがもう一回お願いします! (2016年5月18日 17時) (レス) id: 48215daa06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:UN3245 | 作成日時:2016年5月10日 12時