叩き潰してあげる 1 ページ2
夢主視点
花の蕾が春を迎え、心地の良い風が頬を掠める。
私と勝己の関係も、こんな淡い桃色に染まるはずだったのに……
『何なんだよ、あのクソ女！！』
怒りが静まらず、思いっきり床を蹴った。
くでぇっと自分の机に身を任せると、「まぁ落ち着いて」と上から呆れたような声が聞こえる。
休み時間になるたびに、悪友の“耳郎響香”に恋愛相談をするのは、これで何回目になるのだろうか。
それだけ悩んでいるのだから仕方ない。
身を起こして響香ちゃんと目線を合わせる。
「A〜？大丈夫か〜？」
苦笑いを浮かべながらも相談にのってくれる彼女は、私の良き理解者だ。
表情筋を無理矢理働かせ、笑顔を保つ。
『本当あの女、クソだわ。』
あら、ごめんなさい。汚い言葉が出てしまったみたい。
「女の子はクソとか言いません！止めなさい、聞かれてたらどうすんの。」
慌てた様子の響香ちゃんが、声を潜めて言う。
些細なことまで気をつかってくれるなんて、マジで優しい。
でも大丈夫だよ。
周りから見たら、今日の天気の話してるようにしか見えないよ。たぶん。
「おーい！俺も居んの忘れんな！」
後ろから肩を叩かれて、鮮やかな赤毛が視界の端に出てくる。
爽やかな微笑みで登場した“切島鋭児郎”も、私の良き理解者だ。
「あ、の、女、って」と、面白そうに声を弾ませながら前に出てくる切島君。
「夢魔のこと、だよな？」
悪戯っ子の可愛い笑顔を上目で睨む。
切島君の口から出た、聞きたくもない名前。
聞いただけで不快になっちゃう名前。
“夢魔妖花”、今の私が世界で一番大っ嫌いな奴。
短いスカートをヒラヒラ揺らして、勝己に近づこうとする女。
馬鹿だよね。
淫らなお前が、一途な私に勝てるはず無いのに。
一生懸命にアピールなんかしちゃってさ。
私は、音を出さずに椅子をひいて席を立つ。
真っ直ぐ、綺麗に、勝己の方へ歩く。
あっ、今、目が合った。
笑ったら笑い返してくれた。
近くに夢魔がいるけど、そんなの気にしない。
『爆豪君。』
私が、話掛けると……
「ん？どうしたァA？」
…そう、勝己が返してくる。
あぁ幸せ、この会話。
夢魔妖花さん？貴女には……
……絶対、勝己はあげないんだから。
淡い桃色の恋心は、嫉妬と独占欲で飾り付けて、
凛として
醜くて
とても可愛らしい、
真っ黒な私が出来上がりました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茨姫 - 更新頑張って下さい！早く続きが見たい！ (2023年4月29日 17時) (
レス) @page3 id: 248871b3e8 (このIDを非表示/違反報告)
湾 - 話の内容がめっちゃ面白いです！ビッチ野郎に奮闘する夢主ちゃん…展開が気になります！無理せず計画的に、更新を頑張られてください！ (2019年4月29日 3時) (レス) id: 1c29926d87 (このIDを非表示/違反報告)
わふな - 早く続きみたいです (2018年11月18日 0時) (レス) id: b79daf3220 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白滝 sirataki x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2018年11月1日 22時
