大嫌いな夏を笑う

純白 ページ20

貴方は言ってくれたね
「きみは笑った方がいい」
って。
その言葉とても苦しかったよ、
暖かい眼差しも幸せな日々も
やっぱりほら、終わりがあるんだね。
痛くて、痛くて、ずっと、痛くて。
言えない想いは震えて藻掻いた。
何処にも行かないでと、
言えなかった。







貴方は、貴方は
そこで笑ってるね
私を、私を
驚かせようとしてるね

また、その白い手で
手を握って欲しい
貴方の存在を確かめさせて欲しいんだ。







喉が酷く傷んだ
「涙は止まりそうもない」
嗚呼……
手を広げて握ったんだよ、
掴んだのは貴方の手じゃなく
ただの空気だった。虚しいね。
辛くて、辛くて、ずっと、言いたくて。
それでも言えない私は弱虫だ。
とても愛してるよ、
云いたかった。







綺麗な、綺麗な
月が見えてるよ
貴方を、貴方を
照らしているんだね

またその声で
名前を呼んで欲しい
貴方の声を聞いていたいから。




どうか、この時よ終わらないで、
まだ、まだ、傍に居たいよ
白い白い貴方を追いかけたくて。

驚く顔も、笑う顔も
怒った顔もたまに泣く姿も
全部、全部大好きで……






世界は、世界は
甘くは無かったね
知ってた、知ってたけど…さ
私を、私を
好きと言ってくれた
貴方を抱き締めたかった

ありがとう、ありがとう
私を愛してくれた。
好きだよ、好きだよ
この先もずっと、ずっと

消えてしまったら
見えなくなったら
私を忘れて欲しい。

私は忘れそうも無いな。





．

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