【wrwrd】恋文のミラージュ【gr】 (ページ14)

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十四通ページ14

総統室の椅子に座った一人の男は、考え事をしていた。

何故王女からの返事が来ないのか。

仮説1。王女がグルッペンからの返事を読み、意図的に返していない。

仮説2。王女はグルッペンからの返事を読んだが、返事を出し忘れている。

仮説3。王女からこちらに手紙が渡る際、なんらかの不手際があった。

仮説4。オスマンから王女に手紙が渡る際、なんらかの不手際があった。

この四つの仮説を頭の中で思い浮かべたグルッペンは、眉を顰め考えはじめた。

仮説1については、王女の方から手紙を寄越したのだ、可能性は無いに等しい。

仮説2は可能性は無いわけでは無いが、ラブレターの返事を出し忘れるなんてよっぽどである。

グルッペンはこの仮説を黒で塗りつぶした。

仮説3も同様、可能性が無いわけでは無い。しかし一度こちらに手紙は渡っているのだ。

不手際があるとは思えない。

と、なると一番可能性が高いのは仮説4。

オスマンが報告してきたのは条約の件だけ。

どのような経路で王女に手紙を渡したのかは不透明だ。

……オスマンに確認を取る必要がある。

その結論が出た瞬間、グルッペンは耳にはめ込まれている小さな機械のダイヤルを回し、小さく咳払いをした。

ピッ、と機械音が鳴る。

gr『オスマン？俺だが。ちょっと総統室に来てくれないか？』

os『？おん、ええけど。』

僅かな雑音と共に返事が聞こえる。

gr『ありがとう、それじゃ。』

小さなボタンを押すと、再びピッという機械音が鳴る。

机の引き出しに入った便箋を見たグルッペンは、深い溜息を吐いた。