Genius ページ24
Aside
なんなんだよ、この人。
なんで私のことわかったように言うの？
「経験者の子とはさ、もうスタートが違うんだよ？ こんなちょっと自主練しただけで、すぐに強くなれるんだったら、誰も苦労しないって」
ああ、ムカつく。なんなんだって、ほんと！
知らないくせに。何も知らないくせに。
「っ……」
心の中では、暴言に近い反論をどんどんぶつけているのに、実際には、声がでない。
唇を噛んだ。痛い。
「あなたには……天才みたいな、あなたには……わかんないんですよ」
かろうじてそれだけでた反論は、ひどく小さくてすぐに消える声で。
「……天才……」
消えいるくらいの小さな声。その人もそんな声で、その単語を繰り返した。
「もうこれ以上できないっていうのなら、やめちゃいなよ。誰も責めないよ」
『そんな選手、誰も必要としてないからね』
そう言うと、その人はスタスタと歩いて行った。
ガラガラと体育館の扉を開けて、出て行った。
ガシャン、と閉めた音が、やけに残った。
◆◇◆◇◆◇◆
及川side
「おっせーよ、及川」
外は真っ暗で、そこに岩ちゃんが、体育館の壁に背を預けるようにして立っていた。
俺はそれをちらりと一瞥して歩き出す。
「お前が静かだと楽だわ」と岩ちゃんが笑う。
「今はそんな気分じゃない」
俺はそう呟いて、歩速を上げた。
「珍しいじゃねーか。お前があんな厳しいこと言うなんてな」
岩ちゃんが歩速を合わせて俺の隣に並ぶ。聞いてたんだ。
「……ムカつく。あーゆうの」
前を向いて歩いた。
「上手い奴は、みんな天才だとか、思ってる奴。天才なんてさ、全国に二桁いるかどうかってレベルでしょ」
いつも浮かべてる笑みも、浮かべる気になれない。
「そうじゃない奴は、必死で、死ぬ寸前まで練習して、そんで実力もぎ取ってる奴らじゃん？ なのに、『あいつは天才だから』って言って、努力しないとか」
いつもよりワントーン低い、自分でも思う、冷たい声だって。
「俺は……天才じゃない」
天才って言葉で片付けられたら、今までの努力はなんだったの？
天才の奴らが楽々と越える壁を、俺は何百倍もの練習で越えてきた。
それを、そんな一言で片付けないで。
「……けど、その1年、ホントにやめちまったらどうすんだよ」
岩ちゃんが言う。
驚くほど、俺の心は冷めていた。
「さあ。俺には関係ないから」
The inside of a cover and respect→←lack
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奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そうだったんですか！ ありがとうございます！ 更新頑張りますねo(*ﾟ▽ﾟ*)o (2014年8月24日 19時) (
レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 奈佑(元夕凪)さん» O華ちゃんに面白いんだって聞いて、即行読ませていただいた所存です!!ｗ次話も読ませてもらってます！ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そう言っていただけると嬉しいです(T ^ T) 私には勿体無い言葉ばかりで……。もっともっと頑張ります！ 更新頑張ります！ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - とっても素敵なお話です!!主人公ちゃんも凄く好きです＞＜文才だけでなく絵まで上手だ何て!!憧れます＞＜ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - コトノハさん» 何回も読み直してくださったなんて、嬉しいです！ ありがとうございます！ 更新頑張ります(*^◯^*) (2014年8月6日 21時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪
| 作成日時：2014年7月10日 21時
