gymnasium ページ2
菅原side
放課後のくだけた空気が漂う廊下。
「今日どっか寄ってこー」「いいねー」なんて会話が、あちこちで繰り広げられている。
窮屈な授業も終わった。まあ、一応今年で3年になったわけだし、勉強頑張んないとってのはわかってんだけど。
「今はまあ……部活だよなあ」
あいつがくるんだもんなあ。
そう思いながら、体育館へと続く通路へと体を方向転換。
と、そこに見たことのない子が立っていた。
金髪。しかもスカートすごく短い。
上履きの色からして一年か……。
その子は何をするでもなく、ただ体育館の扉の前で立っていた。
「……なんか用かな?」
俺は声をかけてみた。
その子の肩が、びくっと跳ねた。
金色の髪がふわっとひるがえって、振り向いた。
鋭い目つきで睨まれて、俺は若干たじろぐ。
耳のピアスがきらりと光った。多分化粧もしてる。
沈黙。
「えー……と……」
俺は曖昧に声を発し、とりあえず笑みを続けた。
「スガ、なにそんなとこで突っ立ってるんだ?」
後ろから声がした。
「大地!」
俺は思わず声を上げた。
すると大地は「どうしたんだよ」と言ってから、後ろの女子に気が付いたみたいで一瞬考えるように沈黙をつくった。
そして「ああ!」と声を上げる。
「もしかして、キミが先生の言ってた一年?2週間マネージャーするっていう」
大地がにこやかな笑顔で言う。
俺は大地の言った意味を理解し損ねて、挟む言葉がない。
「……そう、ですけど」
その子の声はいかにも女子って感じの甲高い声じゃなくて、落ち着いた、というかなんだか機嫌が悪そうなトーンだった。
「そっか。じゃあもうすぐみんな集まると思うから、仕事は清水に……」
そう言いながら大地が何気なく後ろを見ると、清水がこの通路に一歩足を踏み入れたところだった。
「ああ、清水。丁度よかった」
清水はこっちをちらりと一瞥して、それから例の子を見て。
「先生から聞いてる」
表情を変えずにそう言った。
「そうなのか。じゃあ話が早いな。色々教えてやってくれ」
「わかった」
大地と清水でそういったやり取りがテンポよくなされる。
俺は相変わらずはてなマークなんだけど。
大地がガラガラと体育館の扉を開けた。俺はそれに続いてとりあえず中に入る。
「どうかした?」
その子が立ち止っているもんだから、扉に手をかけたまま振り返った。
見間違えかも、しれないけど。
「別に……」
――その子の手が、震えていた。
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奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そうだったんですか! ありがとうございます! 更新頑張りますねo(*゚▽゚*)o (2014年8月24日 19時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 奈佑(元夕凪)さん» O華ちゃんに面白いんだって聞いて、即行読ませていただいた所存です!!w次話も読ませてもらってます! (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そう言っていただけると嬉しいです(T ^ T) 私には勿体無い言葉ばかりで……。もっともっと頑張ります! 更新頑張ります! (2014年8月24日 14時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - とっても素敵なお話です!!主人公ちゃんも凄く好きです><文才だけでなく絵まで上手だ何て!!憧れます>< (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - コトノハさん» 何回も読み直してくださったなんて、嬉しいです! ありがとうございます! 更新頑張ります(*^◯^*) (2014年8月6日 21時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕凪 | 作成日時:2014年7月10日 21時