構いたくなる変な奴

書類 ページ7

前略。


中原君に誤字が多い。
否、やる気は見えるのだが..。


誰よりも早く出してくれた書類の約２０％がそのまま帰っていく。


流石に可笑しいと思い、調べた処
中原君の優秀さを憎んだ奴が居ることがわかった。




さて、どうしようか。
中原君が優秀だからと自分が成長を諦めた奴は組織に必要ない。


むしろ害悪だ。

書類の流れが遅れる。
それに中原君がグレたらそれこそ最悪。





だがこれは私が独断で調べた事。

簡単に処刑は出来ないのだ。
如何すべきだ？


太宰君に言うのは仲が悪いし、森さんは「対処を見て見ようか」と笑うだけで済ませそうだ。





......仕方ない。
姉さんにお茶会を持ちかけよう。



あの人は苦手だ..。
なんか色気と美しさの爆弾みたいで見てるだけでお腹一杯になる。







『...姉さん。一寸良い？』

扉から顔を覗かせれば私の来訪に嬉しそうな姉さん。


「A..！如何したのじゃ？お主から来るなんて珍しいのう。

何じゃ？やっと私の養子(部下)になってくれるのかえ？」





ほらぁ。養子と書いて部下と読むなよ..

『否..それじゃなくて..。』


「ふふ、判っておる。何か困った事があるのじゃろ？お主の不安そうな顔なんて何年ぶりに見たことか、

まず入ってお茶でも如何じゃ？息を詰めすぎると出る案も出んじゃろう」



ほらぁ!!妖艶な笑み狡い!!


姉さんと向き合って軽く世間話を挟んで本題に入った。



「...そうかえ、そんな事があったのじゃな。
判った。私が対処しておこう。」


『ありがとうございます。では私はこれで..。』

「嗚呼、またの」



私はおもむろに立ち上がり姉さんに背を向けた。


時だ。




「A。」姉さんに呼び止められクルリと半身を姉さんの方向に向けた。




「話してくれてありがとう。これはAが私を頼った初めての日じゃ。


これからも。何か困ったら言うのじゃぞ？」


ポンポン、と片手で豪華絢爛な着物の袖を抑えながら私の頭を撫でてくれる姉さん。





『.....子ども扱いしないでください..』

「私からみれば十分に子供のようなものじゃよ」



『それ..中原君もでしょ..。嬉しいけど恥ずかしいって言ってたよ』

さりげなく告げ口すれば、姉さんはまた「ふふふ」と笑った。


「Aが一番じゃ..男子はみんな木偶の坊みたいにごつうなってしまうからのう」


『私はいつか姉さんを越すんで。』

「さぁ、それは如何かの？」
姉さんは私を扉まで見送ってくれた。

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