旅行。4 ページ23
「全く……何でそんな頑なにフリーウォール乗りたがらねェんだよ」
『厭です。』
「さっきからそれしか言わねぇじゃねぇか。」
勿論言わないとも。フリーウォールは内臓が飛び出そうで怖いのだから。
私の返答に呆れた、とでも言いたそうな瞳をしていた幹部を横目で見ていると、一瞬の間だけニヤリと口端を上げたのが見えた。
「…じゃァ勝負しようぜ。俺が質問して、手前が乗るっていう質問に答えたら乗る。良いな?」
『…良いですが、絶対言いませんからね?』
当然、ここまで乗らない、を貫いている相手に真っ向で挑んだ所で言わないに決まっている。
怪訝な顔をしているであろう私がそう返事をした。
「そりゃどうだかな。じゃぁ行くぞ。はいかいいえで答えろよ。」
『はい。』
「首領の命令は?」
考えるまでもないな。
『はい。』
「ジェットコースターは好きか?」
『はい。』
「仕事は?」
『はい。』
「…んじゃ俺は?」
『はい?』
唐突な質問にAは目を瞬かせた。
なんだ?何、急に。突然告白じみた事をこの人の多い遊園地の中でさせるのかこの人は。
「早く答えろよ。」
そう急かされ、私は真っ赤になってしまった顔を背けながら少し声を震わせながら答えた。
『…っいいえ、で。』
「そんな事言ってられんのも今のうちだ」
『……はい?』
小さな声が聞き取れなくて私が聞き返しても「んでもねェ。」と話が切られてしまった。
「乗るか?」という待ち望んだ質問によし来た!とばかりに『いいえ!』と答えると幹部はニコッと顔を綻ばせた。
「よし。じゃァ行くか。」
そんな言葉と共にガシッと手を掴まれる。
逞ましい手に掴まれながら『なっ、何でですか!?』と私は聞いたのだ。
「俺は言ったぜ?乗るっていう質問に"答えたら"乗るってな。」
ニヤついた目が私を見つめてから言われた言葉が脳内再生された。サッと血の気が引いていく。
「だぁいじょうぶだよ。手、握っててやるからな。」
『あんたの手にどんな癒し要素が有ると言うんですか!?』食い気味に怒りの声を上げた所で、
「はは、言ってくれんなよ。放すぞ?」
幹部にカラカラと笑われるだけだった。
『放したら逃げますからね。一瞬ですからね。』
「それじゃァ尚更、放してやる訳には行かねぇな。」
と悪魔のような事を言って私の手を引いて列に並んだ幹部を私が許すことは一生ないだろう。
234人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁月臨(プロフ) - はわわわわわわわわわわわわ、、、、、!!好き過ぎます、、、!l更新頑張ってください!!! (7月15日 3時) (レス) @page26 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 駄作上手さん» 謝らないでください!図々しくてごめんなさい!他の投稿も頑張って下さい! (6月11日 20時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
駄作上手(プロフ) - 落蕾さん» 返信遅れてすみません。申し訳ありませんが、今は他に書きかけも書きたいものもあるのですぐに出す予定はありません…ごめんなさい (6月11日 8時) (レス) id: eb19c5f4a9 (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - めっちゃコメントしてごめんなさい。続編出しませんか?めちゃくちゃ読みたいです (6月5日 23時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - メルヘンワード、ツボに入った (6月5日 23時) (レス) @page21 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:駄作上手 | 作成日時:2023年1月22日 17時