辞めてくれ、2 ページ13
数十分後。
「今日はビーフシチューにしたぜ?」
『‥‥』
コトッという音を出して置かれた皿。
『頂きます、』と手を合わせてから口に運ぶ。
ホロリと口の中でほどけた塊肉。
隠し味でも入っているのか、コクのあるスープ。
『‥美味しいです、』
「そうか、そりゃ良かった」
平静を装ったような声が返ってくるが、テーブルの下で密かにガッツポーズをしているのが
言わないで置くのも優しさか。
『えっ‥‥幹部呑むんですか』
私はワインボトルと2つのグラスを持ってきた幹部を見上げる。
「あ?悪い、厭か?」
『え、否‥‥‥大丈夫ですが‥』
噂として聞いただけだが‥
この幹部、悪い酔い方をするらしい。
私が心配しているのは‥
この人を
私は酒に強い方だし、いざと成れば異能で逃げられるが、この筋肉密度の高そうな人を連れていける自信は無い。
引きずって良いだろうか。
「じゃァ乾杯、」
『‥‥‥ええ』
何時から向こうが酔うのか、其れに神経を集中させる。
不意に、視線が合った。
「‥‥‥なぁに見てンだよ」
‥此奴もう酔ってんじゃん。
「何か言ったらどうだァ‥?」
取り敢えず、自分のワイングラスを傾けながらにやりと微笑むのは辞めてほしい。
いけめんと色気が溢れてる。
「手前はいっつも俺の目を見ないで喋りやがってよォ‥‥俺がどんな思いしてるか判ってんのかよ」
ムスムス、と怒り出す。
『嗚呼‥‥私も貴方の目がどれだけ苦手か解って頂ければ嬉しいんですがね。』
「ああ‥?そりゃ如何いう意味だよ?」
『苦手なんですよ、その綺麗な青が。凡てを見透かされている気分になって。嘘を許されない気分がして。』
「‥‥」
暫くの沈黙。
その間、放されることの無かった視線。
そして伸びてきた幹部の手は私の頭をぐしぐしと撫でた。
「なら毎日、俺が見つめてやる。」
ええ、あんたはそういう人です。
マジ言葉が通じねぇ人です、ハイ。
「手前もちゃんと呑めよ」
『アルハラですよ、』
「手前、マフィアに其れが通用すると思ってんのかよ?」
『通じないですか?』
「たりめぇだ。」
嘘を許されないとなると、
そんなの勘弁ですよ。
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暁月臨(プロフ) - はわわわわわわわわわわわわ、、、、、!!好き過ぎます、、、!l更新頑張ってください!!! (7月15日 3時) (レス) @page26 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 駄作上手さん» 謝らないでください!図々しくてごめんなさい!他の投稿も頑張って下さい! (6月11日 20時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
駄作上手(プロフ) - 落蕾さん» 返信遅れてすみません。申し訳ありませんが、今は他に書きかけも書きたいものもあるのですぐに出す予定はありません…ごめんなさい (6月11日 8時) (レス) id: eb19c5f4a9 (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - めっちゃコメントしてごめんなさい。続編出しませんか?めちゃくちゃ読みたいです (6月5日 23時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - メルヘンワード、ツボに入った (6月5日 23時) (レス) @page21 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駄作上手 | 作成日時:2023年1月22日 17時