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Snr side
『…なんで、殴らへんの』
殴られると思ってた。呼び出しがあったタイミングで行かなかったのも、わざと遠回しな聞き方をしたのも。
俺が悪いのはみんなわかっていると思っていたから。
そして、怒っていると思っていたから。
それなのになぜ今俺は坂田に抱きしめられているのだろう。
さ「皆、誰かの為に必死なんや。それは俺もお前も変わらん。」
自分に言い聞かせるかのように言う奴の声は、優しかった。
さ「俺は、怒ってない。センラの大切な奴の事も知ってる。…そいつがあの組に居ることも」
知ってたんだ。坂田は全部。
『怒れよ。なぁ、頼むから怒ってくれ!!!
俺をっ、怒って殴れよ!お前のせいだって、怒れよ!!』
気持ちのままに怒る。逆ギレなんて情けない。
さ「怒らん。俺は、怒らんよ。俺もセンラの立場ならそうしてた。」
優しく、暴れる俺を押さえつけるように抱きしめる坂田。
…あぁこれができる男と俺の違いか。なんて惨めな気持ちになる。
『お前のせいだから組み抜けろって、もう要らないって言えよ!!!!!』
さ「言わない。俺からは絶対。お前のすきにしたらええ。抜けるのも残るのもお前のすきにし。」
やっと解放されたかと思えば、目を見て坂田は続ける。
さ「ええか?これから一ノ瀬組に行く。そこではみんな、自由行動や。すきに行動したらええ。好きに動け。」
ほかの2人にも聞こえるように言う坂田。
さ「みんな、自分の大切なもんの為に動け。自分の大切なもん、自分で守れ!!いいな!」
声を上げ、気を引き締める。これが次期組長。
「了解!!!」 4人、それぞれ大切なものの為に今から動く。
それが吉と出るか凶と出るか。
この際どうにでもなればいい。
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作者名:sio | 作成日時:2021年11月10日 18時