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あなたside
はるかちゃんはとても可愛らしい子だった。
時々マイナス思考に陥るけどいつも明るくて人間らしい子だった。
よく笑ってよく泣いて喧嘩もした。
綺麗な黒髪。大きい目。背丈は私と同じくらいで、年齢も多分同じくらい。とても、可愛い子だった。
はるかちゃんから耳にたこができるほど聞いた話。
「私にはとっても大切な人がいるの」
はるかちゃんにとって大切な人。
凄く凄く。命よりも大切な人。
「背が高くて優しくて、笑顔が可愛くてね?お仕事は少し危ないことしてるみたいだったけど、すごく強くて凄く素敵な人」
何回も聞いた言葉
「でも。いつの日か会えなくなっちゃったの。連絡も取れなくなってね。」
この人のことを話す時のはるかちゃんはどこか寂しそうで、どこか幸せそうだった。
その思い出に縋っているような。
『はるかちゃんはその人の事が大好きなんだね』
私の言葉にいつも笑って答える。
「うん!いつか絶対見つけるの!」
『見つかるといいね』
「そのためにも早くここからでなくちゃ!」
はるかちゃんは私とは違う。目標も、多分、待ってくれてる人も居る。
私にはどっちもない。 私にはそらるしか居ない
「君も一緒に出るでしょ?」
笑顔で聞いてくるはるかちゃんに私は
頷くことしか出来なかった。
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作者名:sio | 作成日時:2021年11月10日 18時