検索窓
今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:29,415 hit

> ページ10

>


「あ、…ふふ、作業終わったん?」



リビングでテレビを眺めていた彼女がこちらを向く。


その顔に思わずぐっと来てしまうのを堪え、



『おぉ、まぁまぁやな。』と返しながら冷蔵庫を漁る。



「せんらくん」



呼ばれたから振り向いた、特に何も変わったことはしていない。それなのに



「…なんか疲れてる?」



あぁ、なぜ彼女はここまで俺を理解しているのだろう。



『んー?そうかなぁ、疲れてるように見える?笑』



なんて、笑いながら聞けば



「なんか、わからへんけど…泣きそうな顔してる…気がする?…ちゃうかったらごめんな?!」



とか、彼女お得意のヘラっと笑った顔で言ってきて、またぐっとこみ上げる。




『いや、…はは、何でもないはずやねんけどな〜…』




明らかに元気なく返してしまった。



やばい。と思ったときにはもう彼女はこちらをじっと見ていて、少し考え込む姿勢をする。


どうすることもできずそのまま突っ立っていると



「んー、……えっと、…ふふ、…おいで?」




少し照れながら腕を広げてくれた彼女に、吸い寄せられるように抱きついた。




『…っ、ごめ…ん…』




出てきた声は本当に自分の声か疑うほど弱々しくて恥ずかしさもこみ上げる。




「大丈夫。大丈夫やで。話したくなかったら話さんでええから。背中擦るくらいなら、私もできるんやで?」



そう言いながら背中をゆっくりやさしく擦ってくれる彼女に、堪えていたものが遂に耐えきれず溢れだす。



『ごめんっ…ほんま、っ…普段は、大丈夫やねんけどっ…笑…ちょっと、…しんどい、…笑…ごめんっ…ぅ、…っく…』



ただ涙を流す俺をただ抱きしめてくれる彼女。
時々、「大丈夫やで〜」とやさしく言ってくれて、その言葉に心から安心して、次第に落ち着くことができた。

>→←だめな日(snr)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:utit , usss , sm
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:sio | 作成日時:2021年8月31日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。