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6.もう一人の執事さん ページ14

「ッたく、なかなか起きてこねェと思ったら...」


ちゃんと仕事しろよこの糞鯖!

ドスッと鈍い音が聞こえたかと思えば、
雑に蹴りとばされた太宰さんが床に転がるのが見えた。


『あの、おはよう、中也さん…』

「おはようございます、お嬢」


ちゅーや、いたぁい と嘆く太宰さんをよそに、
彼は私に向かって平然と微笑んだ。


中也……中原中也さんは私のもう一人の執事さん。
否、正確に云えば 私の父の執事 だ。

数日前から父と出張で出掛けていていなかったはずなのだが…。


『中也、いつ帰ってきたの?』

「昨日の夜だから…ちょうどお嬢が寝た後では?」


そう云う中也さんの目の下には薄っすらと隈ができていた。
きっと、遅くまで仕事してたんだろうな。


『お疲れ様、中也』

よく頑張ったねと言わんばかりに、
女の子なら誰もが憧れるような頭ポンポンをしてあげようと……


「なァに いちゃついてんの、二人共?」


『ひっ、ちょっ、太宰さん!?』


中也から引き離そうと回された腕の思惑通りに、
私は見事に捕らえられてしまった。


「もしかして自覚なかった?」


目の前に迫った整った顔に、
思わず部屋の隅に逃げ出してしまう。

その光景を不思議そうに眺めていた中也がおもむろに口を開いた。




「手前、まさか太宰の野郎に変なことされてねェだろうな?」




……顔がボフッと真っ赤に染まった音がした。


「だぁぁざぁぁいぃ??」


話をしようか、と首根っこ捕まれ引っ張り出される太宰さん。


端から見れば 大丈夫かな と心配になるが
…これが彼らのいつも通りだ。心配するだけ無駄だろう。


『なんか、今日も平和だ』


そう苦笑いする私には、まだ知るよしもなかった。

まさか、私に……。

__________...

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冷たい人 - めっちゃ続きが気になります 更新待ってます 勿論主様の都合の良い時してくれても大丈夫です(?) 温暖差で体調崩されないようにお気をつけてください とても大好きです(??) と、とにかくありがとうございますっ…!(?) (2023年4月5日 14時) (レス) @page19 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
はたゆり(プロフ) - ゆめ。さん» はじめまして!読んでくださりありがとうございます〜!こんな執事さんがいたら一発KOで私も倒れます...少しずつになりますが更新頑張りますね!! (2019年9月22日 9時) (レス) id: 92f2442725 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ。(プロフ) - はたゆりさん» んんんっ!!好きです。← はじめまして、読ませて頂きました!!執事のだざさんよきまるすぎて最高ですっ!!続き、とても気になるので無理なされない程度に更新頑張って下さい!!応援しています! (2019年9月1日 16時) (レス) id: fb79d568bf (このIDを非表示/違反報告)
はたゆり(プロフ) - 世理さん» 返信が遅くなってしまってすみません。アンケートの件了解しました!これからは太宰さんのデレも入れていきますね! (2019年2月6日 9時) (レス) id: af9d31a715 (このIDを非表示/違反報告)
はたゆり(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 了解しました!お気遣いありがとうございます!(o*。_。)oペコッ (2019年1月4日 16時) (レス) id: af9d31a715 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はたゆり @ 苺のシリアル。 | 作成日時:2018年10月26日 20時

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