27.私はかなりの重症らしい ページ40
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___君と一緒にいる理由はない
私の頭上から降りかかる、冷たい声。
その言葉に自然と涙が溢れ出し、太宰の外套の裾を離した。
『私が一緒にいたいの』
喉まで出かかった言葉を何とか飲み込む代わりに、
………懐に入れたイヤリングを服の上から握りしめた。
『太宰、私 先に帰ってるから』
無理して作った笑顔は、きっと痛いほどに歪んでいたのだろう。
「………………ッ……!?」
だって、動揺することのない太宰が目を見開いているんだもん。
そして気付いたときには、外に向かって駆け出していた。
………太宰から逃げるかのように。
傍にいたいはずなのに、私の体は天邪鬼で。
『もう太宰を見たくない』『声を聞きたくない』
と何もかもが、頭からシャットアウトされていく。
「_____、___ッ!!」
何かを叫んだ太宰の言葉も、私にはもう届かない。
だから、気付いたときには手遅れだった。
時間が有り得ないほど ゆっくりと進んでいくように感じた瞬間。
_____ 目の前が赤く染まった。
銃弾が私の肩を貫き通したのだ。
床に倒れると同時に、肩を鋭い痛みが襲う。
銃弾からして、
組織の生き残りか……
はたまた組織の生き残りの 私を 狙った狙撃手か。
「君は……本当に、莫迦なのかい………?」
血で衣服が汚れるにも拘わらず、私を抱きかかえる声の主。
「私を置いていくなんて、あんまりだよ……………Aちゃん」
大好きな人の腕の中で、意識を手放せるなんて……………
………そう考えた私は“かなりの重傷”なんだろうな。
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はたゆり(プロフ) - 枝豆さん» ありがとうございます!応援、すごい励みになります(o^―^o) 続編頑張りますね!! (2018年8月16日 20時) (レス) id: 80c016c5e7 (このIDを非表示/違反報告)
はたゆり(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!そう云ってもらえるととても嬉しいです 最初から読むと結構夢主ちゃんの性格がかなり変わってたり………( '▽')アァ (2018年8月16日 20時) (レス) id: 80c016c5e7 (このIDを非表示/違反報告)
枝豆(プロフ) - 続編、凄く楽しみです!応援しています。 (2018年8月16日 17時) (レス) id: df373c6cb1 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 続編、頑張って下さい楽しみ〜!!待ってる間に最初から読み直すという選択を……(*´ `) (2018年8月16日 17時) (レス) id: a81515e65f (このIDを非表示/違反報告)
はたゆり(プロフ) - コメントありがとうございます! エリスちゃんは個人的に好きなので、仲良くさせたかった(笑) 首領の性癖…バレないといいですね!← (2018年7月18日 6時) (レス) id: 80c016c5e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はたゆり@苺のシリアル。 | 作成日時:2018年7月4日 21時