“死にたがり幹部様”は“殺し屋少女”を堕としたい 【文スト】

25.代償 ページ38

.



あの時、私が目をつぶって異能を発動させた時。

気付いたのかな……姉さんは。



私が隠したのは、

私自身の感情だけじゃない と云うことに。




・



姉さんは、明るくて元気で優しくて……怒ると怖いのは本当の話。


でも彼女は、人より“ちょっぴり”怖がりで。



いつの日か、
「明日 あの人は殺されちゃう」

異能力のせいで、そのような未来を視たと云っていたことがあった。



その日の夜、一人で泣いていたことを私は知っている。

明日が来るのが怖い、自分の異能が怖い………と。




・


本当は怖いはずなのに、

私と一緒に笑ってくれた、ずっと一緒にいてくれた。



だから………最期くらい恩返しさせてよ……




そして、姉さんが おまじない をかけた瞬間、

私は姉さんの“恐怖心”を隠した。








………しかし、私が隠せるのは、物や人だけ。


否、それ以外を隠せないことはないのだが

それらを隠した場合、かなりの確率で“代償”が発生する。




これは自分でどうにかできる代物じゃない。

そう……私の感情は“今も隠れたまま”なのだ。






『このままじゃ、姉さんに有難うって云えないね』







＿＿＿ 私の感情を取り戻せるのは、此奴しかいない。








「 ふふ、随分と私を信頼しているような口調じゃないか 」




「 ねぇ、Aちゃん? 」

26.報われない気持ち→←24.怖くならない おまじない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す