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≪A、A！≫
「ぅわっ！！」
誰かに呼ばれた気がして目が覚める。
初めて聞く声。
でもどこか懐かしい声。
脳や視界がぼんやりしてる状態のまま、私は昨日あったことを思い出そうとした。
…何故って？
ここが知らない場所だったから。
私は今何も無い空間にいる。
家、とはいえない場所。
壁や天井すら無いから。
でも、いくら何を思い出そうとしても、何も分からない。
じゃあ、さっきの私の名前を呼ぶ声は？
誰の声？
あれ、どんな声だっけ。
そもそも私、名前を呼ばれたっけ。
「どうしよう。」
何も分からない。
ここがどこかも。
昨日何があったのかも。
私は何を考えようとしていたのかも。
「う、ああ・・・」
1人で混乱状態になっていると、どこかから声をかけられた。
「お、おい！お前、落ち着け！」
足音が聞こえて、その音は近くで止まった。
体育座りをしている私の顔を覗き込むようにして、その人は言った。
「大丈夫か？どうした？」
「っ、ごめんなさい、な、何も、何も分からなくなって、しまって、・・・」
「そうか、じゃあ、とりあえず、名前は？」
名前、それくらいなら分かる。
「A、です。」
「よし、年齢は？」
「21歳です。」
「俺はキヨ。26歳ぐらいだったと思う。」
キヨさんは分かりそうなことだけしか聞かないでいてくれて、私も不安が減った。
今はこんな簡単な自己紹介だけで落ち着くことができる。
ちゃんと状況を理解して聞いてくれる、凄い人だと思った。
…それか、彼も私と同じ状況だったのか。
「他に誰かいるかもいれないし、落ち着いたなら探しに行くか？」
「はい。もう大丈夫です。行きましょう。」
私達は他の誰かを探しに行った。
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作成日時：2019年3月13日 22時
