高く飛んだその後 (ページ17)

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「くすぐったいよ」

「……」

小さく抗議すると、飛雄くんはその手を止め、私の顎に添えた。
ぐっと力を込めて引き寄せられたのと同時に飛雄くんの顔が近づき、理解して目を閉じる。
そっとキスをされ、油断したところでまたすぐに唇を塞がれた。

「……、っ」

予期せぬ口付けで息が苦しくなり、思わず両手で飛雄くんの胸を押したけど、首の後ろに移動した手は離れることを許してはくれない。

「っは、……んぅ」

耐えきれずに口を開けると、ぬるりと入り込んできた舌に体が固まった。
首の後ろにあった手が背中に回り、ぐいと抱えられ仰向けになる。相変わらず唇は離れないまま、空気を求めて胸を押し返す私の手を、覆いかぶさった飛雄くんの手が絡めとってベッドに押さえつけた。

「ん、……ふっ、ぅ」

されるがまま口内を荒らされ、身体が少しずつ熱くなり、力が抜けていく。
抵抗する気力はなくなり、私は観念して脱力した。

「っ、はぁっ、は……っ」

それきっかけにようやく唇が離れ、大きく息を吸う。
ベッドに押さえつけていた手を離し、私の頬に手を添えながら、飛雄くんは私を見下ろしていた。

「俺の気持ちは伝わってんのか。」

「……」

酸素が足りない頭で、その意味を理解する。
私が飛雄くんのことが好きだと言う気持ちは伝わっているけど、飛雄くんが私のことを好きだという気持ちは伝わっているのかということだろう。
自由になった手で、私も飛雄くんの頬にゆっくりと触れる。同じように耳を触るけど、飛雄くんはくすぐったくないのか、それとも我慢しているだけなのか。表情は変わらなかった。

「……伝わってるよ」

笑顔を浮かべて言うと、飛雄くんはまた私に触れるだけのキスをした。
そのまま首筋や耳にもキスをするものだから、思わず体がぴくんと跳ねる。

「襲っていいな。」

確認というか、宣言というか。微妙なところだけど、多分、両方の意味を持つ問いかけに思わず笑ってしまった。
私を見下ろす飛雄くんの表情はいつものポーカーフェイスだけど、暗闇の中でも少しだけ顔が赤く、余裕がない様子が伺える。その証拠に私に触れる手や身体はとても熱い。
明日は何時起きで、今は何時だっけな。なんてことを思いながら、私は「どうぞ」とだけ返事をした。