高く飛んだその後 (ページ16)

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「電気消すね。」

「あぁ。」

それから食器を洗ったり、洗濯物を干したり。家事を色々終わらせたあと、寝る準備を整えた。
一足先にベッドに入っていた飛雄くんに声をかけてから、リモコンで電気を消してベッドに潜り込む。
そのまま私が中に入りやすいように掛け布団を持ち上げてくれている飛雄くんの胸にぴったりとくっついた。
私がベッドにおさまったことを確認した飛雄くんは腕を降ろし、私の肩までしっかりと掛け布団を掛けてくれる。

「はぁ、今日も1日頑張った。」

「そうだな。」

くっつく私を抱えるようにして飛雄くんも寝る姿勢を整える。
飛雄くんの温かさや香りに満たされながら言うと、飛雄くんは肯定しながら枕へと頭をおさめた。
ほとんど初めての恋で、手を繋ぐのもやっとだった私たちが今やこんなにも恋人らしい生活を送っているなんて。改めてそう思うと、頬が緩んだ。
慣れとは恐ろしいもので、もう飛雄くんにくっつくことに抵抗感はほぼない。そんな私を受け止める飛雄くんも、もういちいち顔を赤くすることはなくなってしまったし、飛雄くんからスキンシップをしてくることだってめずらしくない。
なんなら、もっと触れていたいと思う。近い将来、しばらく離れなければならないとわかっているからこそ。
もぞもぞと顔を上げれば、すぐそこに飛雄くんの顔がある。

「……なんだよ。」

「ううん、かっこいいなって思って。」

「……」

時間が経ち、触れれば触れるほど、飛雄くんへの想いは募っていくんだ。
じっと見つめながら言うと、飛雄くんはまた眉間に皺を寄せて大きな手で私の目を覆った。
くすくす笑いながらその手を退かし、再び胸に顔を埋める。

「私が飛雄くん大好きなの、ちゃんと伝わっててよかった。」

「……」

私が飛雄くん以外を好きになることは無い。本心で伝えた言葉だったけど、それがちゃんと届いていて、そして、私を信じてくれて嬉しいと思った。
そんな気持ちを噛み締めながら、出てきたあくびを噛み殺し目を閉じる。
心地よく襲ってきた睡魔に身を任せようとしたのだけど、今度は飛雄くんがもぞもぞと動き始めたことで目を開けた。
どうしたのだろうかと顔を上げると、私の顔の位置近くまで下がってきた飛雄くんの片手が私の頬に触れる。
そっと頬を撫でたあと、その手が移動して私の耳をふにふにと触った。人差し指と親指で耳たぶを優しく擦るものだから、くすぐったくて首をすくめ、ふふ、と笑い声が漏れる。