高く飛んだその後 (ページ12)

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続きをじっと待つと、顔を真っ赤にした飛雄くんは、口を開いては閉じを繰り返している。
そして、意を決したように、でも小さな声で、

｢その、……誰にも、取られたくねぇし……できることなら……普段の雰囲気とか、……え、笑顔とか……他のヤツに見られたくねぇって思っちまうんだよ……｣

｢……｣

なるほど。独占欲、というやつか。と何故か冷静に理解し。その瞬間次は私の顔がぼふんと赤くなる番だった。
いつもはあんなにクールな飛雄くんが、私に対してそんな風に思っていたなんて、意外すぎる。
同時に少し、嬉しかった。私も少なからず同じように思ったことがあったからだ。

｢……終わった？｣

ほくほくと2人して話さなくなってしまったのを察したのか、耳を塞いでいた手を離した美羽さんが小さく尋ねてきた。
終わった、と言えば終わったのだろうか。どうなのだろうか。曖昧な返事をすると、美羽さんは薄らと目を開ける。

｢……｣

｢……｣

｢……｣

顔が真っ赤の私たちを黙って交互に眺め、美羽さんは深いため息をついた。
そして、

｢途中までしか聞いてないけどさ、2人一緒に住んでみたら？｣

と突然の提案をしてくれた。
思わぬ提案にえ！？と飛び上がらん勢いで驚く。
飛雄くんも私も、海外のリーグ参加を検討している今、同棲なんて考えたこともなかったからだ。

｢いや、2人がアスリートとしていろいろ考えてるのは知ってるけど、だからこそ一緒にいられる時間を大事にした方がいいんじゃないかと思って。｣

まぁ、2人の問題だから私が口出すのもおかしな話だけど。と美羽さんは前置きをしつつ、

｢同棲してたら勝手に付き合ってるって噂も広まるでしょ。そしたら変な人も寄ってこないよ。お互いに。｣

なる、ほど……。と美羽さんの意見を飲み込み、飛雄くんを見ると、飛雄くんも私を見ていた。
ばちりと目があい、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
お互いに、もう顔の赤みは引いていた。
そして、

｢……住むか、一緒に。｣

｢……ほ、本当に……？｣

実行の前に両家挨拶が先かしらね〜と、美羽さんは呑気にコーヒーを啜る。
そんな具合に、私たちの同棲が決まったのだった。