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「仁花ちゃんから頑張ってねってLINE来てた。」
「そうか。」
「……なんか、さすがに緊張するね。」
「メントレしてんだろ。」
「試合とはわけが違うじゃん。
どうしよう、なんか聞かれちゃったら……」
「テキトーに答えりゃいいだろ。」
「そのテキトーが出てこないんだよ」
春高で優勝した私は、その後スカウトを受けプロチームに入団した。
ありがたいことに早々からレギュラーメンバーとして選手入りでき、あれよあれよと恵まれた環境へと進ませてもらえた。
そこそこの活躍──では満足出来ず、さらに自分に磨きをかけるべく練習に勤しむ毎日。
そんな時、突然監督から呼び出されたかと思えば、とんでもない話をもちかけられて、思わず腰を抜かしたほどだった。
「ほんとに、夢じゃないんだ……」
2016年。私は日本代表選手として、錚々たるメンバーと肩を並べていた。
そしてそれは、飛雄くんも同じだ。
選手発表の記者会見。控え室は男女別だったけど、抜け出して飛雄くんと会場裏の廊下で落ち合っていた。
「夢でたまるかよ。」
まだふわふわしている私に、飛雄くんはずばりと言う。
相変わらず肝が据わっていらっしゃる。私も普段からそうなれればいいんだけど。
そう思いながら緊張をほぐす為に大きく深呼吸をしていると、スタッフさんから「間もなくです!」と声をかけられた。
「あ、はい!」
慌てて返事をして、会場の方へ目を向ける。
飛雄くんが先に歩きだし、私も後に続いた。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです!いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2022年10月10日 21時