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「フォロー！」
でも、相手ブロックの手に当たり、勢いの落ちたボールがネット際に落ちた。
そのボールを拾うために、私がフォローに入っているんだ。
「上がった！もう一本！」
パンケーキでボールの下に手の甲を滑り込ませ、確実に拾う。
乱れはしたものの、セッターは巧みにボールを裁き、ブロックの裏をかいたクイックでスパイクを決めた。
「っしゃ！あと1点！」
24-23。先に大手をかけたのは新山女子だ。
私は前衛にあがり、セッターのサーブ。
「このラリーで終わらせよう。」
誰かの声が聞こえて、小さく頷いた。皆、同じ気持ちのはずだ。
サーブが打ち込まれ、相手が拾う。多少乱れはしたものの、確実に攻撃に繋げてくる。
ブロックでコースを絞り、リベロのいる方に打たせるよう誘導した。
「ナイス！」
「レフト！！」
誘導は成功し、リベロが綺麗にセッターに返す。
万全の体勢で、エースへとトスが上げられた。
うちのエースはまだ2年だけど優秀でパワーもある。
ドッと重い音をたてて打ち込まれたスパイクは鋭く、誰もが決まったと思った。
でも──
「あがった！！」
相手のリベロが体でスパイクを拾った。
大きく高く上がったボールは、ネット際……わずかに新山女子側のコートへと落ちようとしていた。
その下にいるのは、私だ。
「そのまま叩け！！」
キャプテンの声が聞こえて、小さく頷く。
ボールの下に入り、助走した。
私が打って返してくるのは一目瞭然。だから相手はブロック3枚。
そんな土壇場の状況で、私は中学の決勝を思い浮かべていた。そして、叶歌先輩に弱点を教えてもらった時のことも。
あの時も、目の前にはブロックが3枚だった。スパイクが、苦手だった。ネット際が、苦手だった。
まさに、トラウマにもなったあの時と似た状況。
「……」
でも、不思議と緊張はしなかった。
なぜなら、私はそのトラウマを拭い切るほどの努力を、確実にしているから。
絶対にできる。ブロック3枚をかいくぐれる自信が、今の私にはある。
見ててね飛雄くん。私は、あの時から確実に、あなたに近づいたよ。
そう、心の中で語りかけながら、今までの集大成だと想いを込めて。
──高く、飛んだ。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (
レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです！いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおり | 作者ホームページ：http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時：2022年10月10日 21時
