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「春高バレー、応援席だけど、多分新山女子に着いてくと思う。冬休み被ってる間だけ。」

「そうか。」

「行けたら応援しに行くね。」

「あぁ。」

動き足りなくてランニングをしていた。それは多分、嘘ではないと思う。でも、この真冬にわざわざ駅まで来て俺に伝えたいと思うほどに不安を抱えていたこいつに、もう少しくらい気の利いたことを言えたらいいのに、俺はAの言葉に対して返事をすることしか出来なかった。
それでもAは、にこりと笑って手を振る。

「今日はありがとう。気をつけて帰ってね。」

「……」

今まで俺は、マネージャーであるAにたくさんサポートをしてもらった。
それを勧めたのは俺で、プレーヤーに戻れと言ったのも俺だ。もちろん最後はAの意思だろうが、それでも何故か、今になってやっと、Aが遠くに離れていく感覚を感じた。

「家、近ぇから……」

「?、うん」

玄関に背を向けて立っていたAが、俺の声を聞きとるために1歩前に出た。

「会おうと思えば……いつだって会えんだろ。」

「……」

ぱちりと、Aが驚いたように1度瞬きをした。
それから、頬を染め、ふふと肩を震わせて笑う。

「そうだね。……ホントにそうだ。」

そう返事をして、Aは変わらず笑顔を浮かべて俺を見た。
柄にもないことを言った自覚はあった。どうしようもなく恥ずかしくなってきて、マフラーに顔を埋める。きっと俺の顔は今赤い。
取り繕うようにサドルに腰掛け直し、ハンドルを握った。

「じゃあ……」

「うん、疲れてるのにありがとう。またね。」

小さく手を振るAに、俺は頷いてペダルを漕いだ。
明日は5日ぶりに部活の練習に行く。たった5日。されど5日。日向が、月島が、皆が、何をしていたのか、どんな成長をしているのか、わくわくした。
烏野は飛べないカラスと言われてから、やっと全国出場に返り咲いたところだ。今回の合宿で、更なる課題も見つけた。
Aはインターハイで優勝経験もある、バレーにおいては超名門校に入る。Aのことだから、とんでもないスピードで成長するのだろう。

「負けてらんねぇ……」

俺は今、めちゃくちゃ恵まれた環境でバレーが出来ている。
だからこそ、誰にも負けねぇくらい、成長できる自信があった。

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設定タグ:HQ , 影山飛雄 , ハイキュー   
作品ジャンル:恋愛
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです!いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/  
作成日時:2022年10月10日 21時

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