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「そういやA、4月から新山女子に編入だっけ?」
「はい、あと3ヶ月で新山女子になります。」
思いの外体力を使い、1度休憩しようと体育館外の階段に4人で腰を下ろす。
田中先輩の問に頷くと、西谷先輩がグッと親指を突き立てた。
「応援してるぜ!絶対レギュラー獲れよな!」
「はい!レギュラーで全国優勝します!」
同じようにグッと親指を突き立てて返事をして、自分にも言い聞かせる。西谷先輩のハツラツとした物言いはやっぱりとってもカッコイイと思った。
同じクラスの日向くんはともかく、田中先輩や西谷先輩はマネージャーを辞めてからめっきり顔を合わせる回数が減ってしまった。こうして会話をすることも、とても久しぶりに感じる。
「ポジションは?」
「オポジットです!キャプテンとウシワカと同じとこ!ね!」
田中先輩の質問に答えたのは何故か日向くん。キラキラと目を輝かせながら自信満々に言う様子が面白くて、思わず笑いながら頷いた。
「今のところはそこが濃厚です。
レシーブ力も認めてもらえて、自分のプレーが活きてるなって感じます。」
言うと、田中先輩は少し安心したように笑顔を見せる。
「じゃあ、叶歌とはポジション争いはねぇわけだ!」
叶歌先輩からも聞いていたけれど、田中先輩と叶歌先輩は私と影山くんのように小学生の時に同じクラブチームだったらしい。
ただ、私と影山くんのクラブチーム時代とは異なって当時から仲良しだったようで、田中先輩にとっても、叶歌先輩への思入れは一入なのだそうだ。
「得意分野が違うのもありますけど、正直叶歌先輩にスパイクでは勝てる自信ないです。」
新山女子の練習に参加するようになって改めて思ったけど、やっぱり皆とても上手いし、チームとしても完成している。女王という呼び名がピッタリなほど、負ける気がしなかった。
凄いエースアタッカーが近くにいる。そうなれば、教えを乞う以外の選択肢はない。
だから、自主練の時間になった途端、いけると思った時には私は必ず叶歌先輩にスパイク練習をお願いする。
叶歌先輩自身はとても謙虚で、自分はそんなに上手くないと言うけど、間違いなくトップレベルの技術の持ち主だった。
誰にでも向き不向きはあり、適材適所がある。
私が向いているのはオポジットで、叶歌先輩はレフトだった事は、ある意味幸運だと思ったほどだ。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです!いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2022年10月10日 21時