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「ピリカにフィーナにユーリね。わたしはユ……」
「ゆ？」
「…夕闇に染める黄昏の女剣士よ」
…この間にこっそり逃げてもいいかな。
そろそろと。気配を消して。Ｇのごとく。
いやそれは言い過ぎか。
「な、なにそれ？変なの〜〜」
「うっさい。こっちにも事情があんのよ。…あ、そうそう！あなたもありがとね！助かったわ！」
「う゛」
バレた。
ちぇ、やっぱりごまかすしかないか。
「あー……いえ、まァ…はい」
「名前は何ていうの？」
「え、えェっと……うーん…………まァ…名乗るほどの者でもないですよ。急いでるんで…行ってもいいですかね？」
「あ、急いでたの？ごめんなさいね、引き止めちゃって」
「イエ…ベツニ。ソレデハ」
ざっくざっくざっくざっくと、さっきの4倍くらいの速さで草原を突き進む。
……絶対、不審者くさかった…！
後ろを振り返って彼らが見えない距離まで来たのを確認して、王都までトんだ。
「…………あー……」
「大きいため息ね」
どぉあ！！？？
と、口に出さなかった僕を褒めてほしい。
気配を殺して近づかないでくれ…心臓に悪い。
「どこへ行ってたの？」
「…貴様には関係ない」
「あら、冷たいわね。…どこ行くのよ」
「ご飯を食べに」
「ふぅん……アタシ達魔神に食事はいらないわよ？」
「え？？」
「まあなんでもいいけれど…って、知らなかったの？」
あ…そういや、お腹空いてない。結構いい時間なのに。
え、ご飯いらないの？？まじで？
初耳なんだが。
「その様子だと知らなかったみたいね……まあ、食べても食べなくても変わらないっていうだけだから、どっちでもいいんじゃない？」
「ああ……」
ご飯食べなくてもよろしいんだ……ふうん……。
エイレヌスに追いかけられないように図書館までトんで、ご飯を食べなくてもいいというショックから抜け出せないまま本を読み続けた。
「…………ん」
読み疲れた。
何冊読んだだろう…２０冊くらいかな？
エイレヌスは途中で来たけどガン無視した。
んー…本、読み飽きたし…遠出でもしようか。
ああ待て、でも下手したらまた彼らと出会ってしまうか。
日付の感覚とかもう狂ってるからなァ…図書館に窓、ないし。
…………今は…迷宮山脈らへんかな？たぶん。
ん……じゃあ、湖都にでも行こうか。
うし、決めた。運動がてら湖都に行く。
湖都の砂漠超えもけっこうキツイからね、いい運動になるだろう。
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作者名：通行人O | 作成日時：2022年5月28日 11時
