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秘技・かくかくしかじか戦法。
ピリカとフィーナがどうにかして皆を納得させてくれた。感謝。
「…………ナナシは魔神で、黒騎士だったのか…」
「気配がどこか違うのは…?」
「ちょっと工夫しただけだ。……それより、早く戻らなくていいのか?『英雄』を待ってる奴らしか居ないが」
「あ…そうか、オイラ達、英雄なのか……えへへ」
「そう言われるとなんか恥ずかしいですね…」
「……ああ。…おめでとう」
えへえへしているカイン達が落ち着くまで待ってから城を出る。
僕は一緒に居ると混乱が絶対に招かれるとの事だったので、黒の因子を圧縮してちょっと距離をとって城から出る事になった。因子化すれば誰かに見られる事もなくユリアナ達首脳が集まっている所まで行けるんだが…それだと襲撃だと勘違いされる可能性が高いから。まだ因子化できるって言ってないし。
建物の影から彼らを見ていた。
一番前にはユリアナが居て、シルヴァさんが居て、オルガとバルドルが居て……とにかく豪華なメンバーが揃って彼らが出てくるのを待っていた。
それは好都合、と喜び合う様子もなく話しかけたのがピリカ。しばらく話を聞いて、少し顔色を変えたユリアナを肯定するようにうんうんと頷くカイン達。
……何を話しているのかは分からないけど…嫌な予感はする。
「ナーーナシーーー!!!おいでーー!!!」
そんな大声で呼ばないでほしい……。
が、呼ばれた事は呼ばれたので、転移して彼らのすぐ隣まで行く。
「うわっ、びっくりした」
「…どこまで話した?」
「んーとね、ナナシが城に居たから正式に仲間にしたよって言ったよ」
「……それだけか」
「?うん。他に何か説明要ったっけ?」
「バレた時……俺が、そういう…事を隠していたように受け取られるかもしれないだろう」
「あ、確かに。えーとね、落ち着いて聞いてほしいんだけど」
「いや別にここで言ってほしいわけではなくて場所を変えてほしいだけなんだが…できるだろうか?できれば他の人にあまり聞かれたくないんだが」
うーん、とユリアナに少し難しい顔をされてから、「今はごたごたしているから落ち着いたら呼ぶからそのとき来てね」と言われた。
……魔神っていうのがバレてない証拠だな。いいのか…悪いのか。多分悪いが……この場合は都合がいいからまあよしとしよう。
…………呼ばれるまでにシュザに会わなきゃいいけど。あの人勘が鋭そうだから下手したらバレる可能性がある。
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作者名:通行人O | 作成日時:2022年5月28日 11時