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「…ナナシ、さん?」


最悪だ。

……いや、最悪なんて言葉で済まされる事じゃあ、ない。


「え?……え?黒騎士が……ナナシだった、っていうこと?」
「…………違う」


”黒騎士”は、”ナナシ”じゃない。

”ナナシ”なんてニンゲンは原作には存在していなかったんだ。


違う。
違う。


「”僕”は、」
「……?」


……………………あれ。


黒騎士は、僕だけど。

ナナシも僕だ。

でも、”黒騎士”は”ナナシ”じゃない。






僕は………………”誰”、だ?








 









「―――げふっ!?」
「…よし!息できてる?」


急に、……急に息苦しくなったんだけど。そのまま咳き込み続ける。

ピリカ、お前…何言ってんだ?息できてるかって……言ったよな。僕にか?
というか…………いつの間に座り込んでたんだ、僕。


「ごほっ…げほ、」
「ゆっくりでいいですよ。しっかりと、吸って、吐いてを繰り返してください」
「……はっ…………?っげほ」
「急に動かなくなったと思ったら座り込んで、しかも息まで止めてたからこっちがびっくりしたよ、もう」


息止めてたのか、僕?背中に感じた衝撃は…ピリカが背中を叩いてくれたのか。
というかそんなに時間が経ってたのか。

……違う、そういう事じゃない。それどころじゃない。


「っさわ、んな…!」
「……なんで?」
「は…!?なんで、って、何だよ……!(”彼”)はお前らを利用しようとしたっ…、んだぞ?ふざけんな……、……俺はお前らの敵だ、お前らに優しくされる筋合いは、っないんだ。…………僕は、”黒騎士”なんだ」


だめだ、原作通りにいってない。

原作どころでもないこの状況から、どうやって原作に戻す?


”彼”に、なるためには、どうすれば。




「…あなたは、一体”何”になりたいんですか?」
「…………ぇ?」
「私にはどうしても……あなたが何かにならなくてはいけなくて、”黒騎士”を演じているように見えます」
「………………は」
「オイラも。なーんか”ナナシ”の時の方が違和感ないんだよなぁ」
「ああ、俺もだ」


―――、


「しっしっし、まんじょーいっちってやつだね」
「……”あなた”が一体何を背負っているのかは、分かりません。ですが、どうか…………自分の心には、素直になってください」
「…………」
「あなたは、何になりたいですか?」







 








 







 








 









「……………………………………………………僕は」

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作者名:通行人O | 作成日時:2022年5月28日 11時

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