黒い騎士

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この薬屋、持ち逃げしようとする人が多いわ多いわ。

ひどい時には１日で６人捕まえた事があるくらい。

旦那さんによくやっていけたなぁと言ったら、「若い時に金は稼いでいたからなぁ」という返事が返ってきた。
そういう意味ではないんだけど、というツッコミが４割、どんだけ稼いでたんだろうという考えが６割。

……どれだけ稼いでたんだろう……。ってか何してたんだろう…………？

…いや、突っ込むのはやめておこう。なんか怖い。










そういうことをやったりして、今日で店番最終日になった。

…エイレヌス達はどうしたって？放置に決まってるじゃないかあんなやつら。餓鬼じゃあるまいし、いちいち報告する理由なんてないだろうとそういうことだ。


「はい確保。商品は金で取り引きする約束ですよー」
「ちくしょう！前からあそこは万引きし放題だったのに……！いつ傭兵雇ったんだよ！！」
「さあねえ」


本日２回目の万引き現行犯逮捕。

逃げ足だけは早かったので、店から少し離れてしまった。

とりあえず店に持ち帰り


「を、」
「…………あ！！名前言ってくれない兄ちゃん！」
「おお！本当じゃんか！」


…………。
やる気なくすわぁ。


「っらあ！隙ありだぜ！」
「あっ」
「ん？」
「…………義勇軍さん、そいつ捕まえて。万引き現行犯」
「んなっ……知り合「フェアリーキック！」イゲェ！」
「…これでいいのか？」
「ああ。協力感謝する、後ろに居るのは議長さんと戦士ギルド長だよな、何か大きな案件でも抱えてるんだろう目的地に急いだ方がいいぞ俺なんかに構わないで」
「知り合いかい？」


聞くなよ議長。話が長くなるじゃないか。しかもあれだろ、タイミング的に円卓会議だろう？
先を急ごうよ議長。後ろ２人含めて懐かしい顔だけどさぁ。


俺も仕事やってるんですよ、万引き捕まえまくってんですよと説明してとっとと別れようと思ったら、「店までついてく」と言い始めた義勇軍。

言い出したら義勇軍は止まらないっていうのは知っているし面倒くさくなったのでそうしてもらうことにした。


「名前、そろそろ言ってくれてもいいじゃないか」
「そうだぞ！？俺達の中で『あの人』だの『彼』だの言うのにも飽きたんだよ」
「人の呼び方に飽きたもクソもないと思うが」
「でもさ、こんなに運命的な出会い何回もしてるとやっぱり何か繋がれてると思いたくなるじゃん？」


……まあ、繋がれてるっちゃ繋がれてる…が。
そういう話ではないだろう。

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