黒い騎士 (ページ15)

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ただでさえ、シュザという男は強いんだ。

余計なことを考えていたらマジメにころされる。

……いやまじでしぬこれ。つっら。

「どうした！その程度か！！」

って思ったけどちょっとイラっとしたりする。

”彼”がこの程度の訳ないだろうが。僕が”彼”より弱いだけだ。
だとしてもお前にとやかく言われる筋合いは無い。

ので、ズルをする。

「……来い！」

黒の軍勢の呼び出し。

一か八かでやってみたけどできた。転移ののをちょっと応用すればいいだけだったから。

そいつらでシュザの周りを囲む。
そしてその間に逃げる。

いや別に、怖くて逃げ出したとかじゃなくて、ちゃんと原作でもそうやっていたからこっちに来ただけなんだ。

「ユグドさん！ご無事でよかった！」
「ここから裏手へ回れば――」
「無駄だ」

裏にも軍勢いるから。

「黒騎士！シュザを倒したの！？フィーナ、ユグド！逃げて！！」
「でも！」
「コイツの狙いはフィーナ達なんだ。オイラ達が食い止めるからふたりは逃げて！」
「…………見くびるな。貴様らごときに私が止められると思うか」

いや僕は止められると思うんだけどね。
だって”義勇軍”だから。

止めてみせる、とピリカが叫んで、”義勇軍”が一斉にかかってきた。
多勢に無勢にも程があるだろう。ふざけんなや。

８，９歩下がって黒の軍勢を呼び出した。

軍勢を盾にするようにして彼らを攻撃していく。

魔物の後ろから魔物ごと突き刺そうとしたり。

飛んできた矢を魔物を盾代わりにするようにして避けたり。

あと少しで彼らに届きそうになる魔物の後ろから魔物ごと攻撃しようとしたり。

時々、反射で彼らを守るように魔物を切り裂いてしまったり。

やっぱり、悪役にはなりきれないなァ、と飛んでくる矢を、振ってくる剣を避けながら考える。

”彼”はもう割り切っていたのに。
この違いはなんなんだろうな。

「やっぱり、強い……！でも、抑えられないほどじゃない！」
「……」

考え事をしているからな、というのは言い訳だろうか。でも気は抜いていないからセーフとする。

と、いきなり森の方からフィーナの叫び声が聞こえてきた。

「……手遅れか」

というセリフをのこして城に転移した。
原作でそうだったからな。

…………さて、次は九領だったな。確か。

御前試合、があるはずだ。

歩いていくなら、今から行くくらいがちょうどいいだろう。