黒い騎士 (ページ11)

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暑い。

暑いっていうかこれはもはや熱いの領域。

熱い。

前に湖都に来た時もこんな感じだったなァと感傷に浸りながらひたすら砂漠を進む。

や、転移するのが１番簡単なんだけどさ。
人がいっぱい居る所に転移しちゃったりするといろいろめんどいことになるから。

歩く。
そして本日もまた例によってフリースタイルで来ております。

「…………ぁーー……あ？」

見えた…オアシス。

そして風に乗ってかすかに磯の匂いと悲鳴が。

え…………僕、どういう風に砂漠進んで来たっけ…？

嫌な予感…しかない。

早足で一気に進む。

　

　

　

　

　

港町だった。

そして、黒の軍勢と、エイレヌス。

あー……。

義勇軍は、来てない…な？来てない、と思い込むことにする。

僕のやるべきことは唯一つ。

「…帰ろ」

これ一つに限る。

嫌だよまた皆と会うのなんて。

なんだ、僕は城から出るなってのかおい。

……！

ああああ、待てそう言えば本読んでる途中に彼女が来た時、近々湖都を攻めてくるとか言ってた気がするぅ……！

僕が悪いのかこれ！？

　

いや待て落ち着け、今はそんな事考えてる場合じゃない。
兎にも角にもまずは転移するために人の居ないところを探さなければ。

民間の人を襲ってる黒の軍勢を斬り倒しながら曲がり角を曲がり。

見事義勇軍と邂逅を果たしました。少女漫画的出会い。

よし決めた僕もう城に帰ったら城から出ない。

逃げようとも思ったけどピリカとユーリとばっちり目があった。

はいもうこれで逃げられもしないですね。

「…あ！前に出会ったヒト！ごめん手伝ってくれない！？」
「うん…そう考えてた。民間人を襲ってる奴らは任せてくれ…ないだろうか。もうちょい先にいる強そうな魔神はよろしく頼むことになるが」
「ああ、助かる」

よっしこれで義勇軍とこれ以上会話を交わすこともなく城に戻れる。

エイレヌスと戦ってくれって言われたらちょっと逃げるつもりだったけどね……さすがにそこまでひどくもないよね。

向こうからしてみれば、僕は見ず知らずの他人なわけだし。

…………余計なことは考えないようにしよう。

ここは戦場だ。

何も考えずに敵を斬っていけばそれでいい。

何も、考えるな。