５時間の問題だった ページ5
「あ、Aちゃん。来てくれたんだ」
汗と泥と古びた木材の匂い。立て付けの悪いドアを引く。
最初こそ女子の入れる場所じゃないと仰天したものだったけれど、慣れたいまではそんなに嫌ではなくなっている。ファブ●ーズを導入した成果もあるのかもしれない。
来ちゃったと笑いかけたら、いつもと変わらない花のような笑顔で秋ちゃんは微笑んだ。「いつも助かってるのよ、ありがとう」天使が過ぎる。掃き溜めの部室に鶴である。
週に何度か、こうしてサッカー部に顔を出してはマネージャーのお手伝いをしたり後輩に絡んだりすることが、わたしにとって憂鬱な朝を払拭させてくれる趣味と化していた。
はじめはマネージャーにならないかと秋ちゃんや春奈ちゃんに勧誘されていたけれど、学校に来ない日もあるから迷惑はかけきれないとなんとも自分勝手な言い分で避けてきた結果、こんな日雇いバイトのような立ち位置におさまった。ほんとうに自分本位である。
「風丸くんが、今日は来ないんじゃないかなんて言ってたから」
「ち、ちょっと野暮用があって」
きっとまた叱られてしまうから、日直を押し付けられていたことは内緒にしておこう。
秋ちゃんは風丸のようにしつこくはないが、かれ以上に心配性なので、あまりこのような話題は出したくなかった。お母さんに隠し事をしているみたいな心境。
記録用のペンを探していた秋ちゃんが、ふと顔をあげた。彼女のそういえば、と言いかけた声が、誰かがわたしを呼ぶ声と重なった。
「なんだいるのか」
「いちゃ悪いのか」
忘れ物でも取りにきたのかユニフォームの風丸に悪態をついたら、そんなことは言ってないぞと困ったみたいな顔で笑った。悪意はなさそうなので許そう。
入ってくるなりその場から動かないから、何しにきたのと聞いてみる。急に顔をこわばらせてはぐらかすような態度の風丸に対して、なぜか秋ちゃんがニコニコしていた。
そしてその瞬間「せ、先生に呼び出されてたから気になったんだよ」と信じられない答えが返ってくる。秋ちゃんのえ、という声も続いて。血の気の引く音がする。
「Aちゃん…」
「違うんだ秋ちゃんこれには理不尽な訳があって」
両手を合わせて懇願したら秋ちゃんはなにかを察したようにわたしをじと見した。涙目で風丸をにらんだらあ、やべっ、みたいな顔と目が合ったからこればかりはどうにも許さない。
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猫好き - 分かりました。今度からそちらのサイトを見ます。 夏休み明けですがこちらの小説を見て気を引き締めて頑張ります!!。笑 主さんも体調に気をつけて執筆してください。 では失礼しました。 (2018年9月3日 8時) (
レス) id: d939300772 (このIDを非表示/違反報告)
志穏(プロフ) - 猫好きさん» 心温まるコメントありがとうございます！とても嬉しいです！実はサイトを移転することにしまして、今は別のところで執筆しております！【https://alicex.jp/ontr111/】こちらで続きを載せているので良かったらよろしくお願いします！ (2018年9月3日 6時) (レス) id: e87830b919 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 初コメ失礼します。 作風などがとても好みで続きが楽しみです。 風丸とアフロディ好きなので、出来ればでですけど見てみたいなぁ~と思います。上から目線ですいません。 汗 では長文失礼しました。 続き楽しみにしてます!!。 (2018年9月2日 20時) (レス) id: d939300772 (このIDを非表示/違反報告)
はしまき(プロフ) - カイガさん» いま1番すきな作品です…！更新がんばってください！ (2018年8月16日 11時) (レス) id: b90d5ba7ae (このIDを非表示/違反報告)
カイガ - 面白いです！頑張ってください！！ (2018年8月12日 19時) (レス) id: 4d2b158f71 (このIDを非表示/違反報告)
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