愛なんていらなかった。 (ページ6)

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Story.5 ページ6

今までちゃんと人を好きになれたことがなかった。

彼女がいたといっても、その中で好きになれた人は結局いなかった。

まあ、そりゃあ別れる時に少しは寂しさを感じていたけど。

ずっとずっと自分に嘘をつき続けていた。

自分なんかに好きな人なんかできないって。

愛したい人なんかいないって。

だって、愛し方を知らないから。

でも守りたいって思える人ができた。

けど…

その人と結ばれる未来は絶対に無くて、避けられるかもしれないし嫌われるかもしれない。

俺は好きになっちゃいけない人を好きになった。

そう、それが…廉だった。

いつも廉に聞かれる。

紫耀って誰が好きなん？って、友達なんやから教えてやって。

でも、俺は廉のことを友達としては見ていない。

ちゃんと好きな人、守りたい人って見てる。

だけど俺がそんなこと言ったら、きっと廉は引くだろうしもう今みたいな関係を続けることはできない。

だから、俺の心の内に閉まっておくしかない。

少なくとも、廉が俺のことを友達として見ている間は。

やっぱり男を好きになるのは、女の子を好きになるとは全く違う。

愛し方も接し方も何もかもが違うと思ってる。

そのせいで悩んでも悩みきれない。

…だから愛なんていらなかった。

愛なんかなければ、こんな風に悩み苦しむことはなかった。

廉を友達として見れたのに…。