友人4人と俺の話 (ページ9)

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第7話ページ9

「あれ？今日もAが一番乗り？」
『おー、フジおはよー』

「おはよう」と挨拶するが時刻は夕方。
本日も撮影の為最俺ハウスに集合なのだが、この所Aが一番に到着している。
今日は実写かーと自分のデスクに腰をかけて、全員が揃うまで編集の続きをやろうと持参したPCを開く。
フジはそこでふと気付いた。
何時もは目を見て会話をしてくれるAと目が合ってない。
というか、顔を見せてくれない。
PCモニターで上手く顔が隠されている上に名前を呼んでも返事をしてくれるだけ。
明らかに何時もよりぎこちない様子に、フジは「まさか」とAの背後に回って顔を上げさせ強制的に目を合わせる。

「やっぱり。まぁた寝てねぇべや」

くっきりと目の下に出来ている隈を見て額にデコピンする。
この所ハウスに一番乗りだったのは、寝ずに作業をして既に起きていたからということなのだろう。
バレてしまったと目を逸らすA。
仕事の事ばかり考えて作業をしていたらいつの間にか朝になっており、一息つこうにも覚醒してしまって睡魔が全く来なくなってしまったのだと言う。

『…横になってても寝れないなら編集したいって思っちゃってさ。そしたらいつの間にか寝れなくなっちゃって』

とは言いつつも、顔はしっかり眠い表情になっている。
仕方ない、とフジはリビングのソファへAを寝かせる。
ヒラが泊まり用に置いている布団を掛けて、目を閉じるように手で優しく覆い隠す。

『ふじ？』
「どーせ今日もキヨ遅いし、仮眠とっとき。仮眠」
『寝れないって』
「んな事考えてっから寝れねーのよ。いいから黙って目瞑ってみ」

言われるがまま目を瞑ってみる。
フジの手から感じる体温が、程よく目の疲労を緩和させてくれる。
傍に誰かが居るという安心感もあるのだろうか、何の抵抗もなくじわじわと意識が沈んでいく。

「おやすみ」

そんな声も気付かないまま、Aはあっという間に寝てしまった。
やはり身体は限界だったらしい。

「うっすー、あれ？何してんの」
「よう、こーちゃん。困ったちゃん寝かせてた」
「またぁ？今度は何徹よ？」
「聞いてないけどほぼ気絶に近いんじゃない？この寝付き方は」
「まじかー、そりゃ困ったちゃんだわ」

起こさないようにそっと隈を指でなぞってそのまま目にかかっていた前髪を梳かす。

「最俺(だれか)が居ないと寝れなくなっちゃう困ったちゃん」

頭を撫でるフジが満更でもなさそうに呟いた。