友人4人と俺の話 (ページ3)

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第3話ページ3

友人達に仕事を辞めると話してから数日。
今日がいよいよ最終日になる。
最終日とは言っても、それほど深く人と関わってこなかった為か、特に何時もと変わりなく最後になる仕事をこなしている。
小休憩を挟もうかと体を伸ばしたタイミングでスマホが鳴った。
「キヨ」という名前の表記に、この時間帯から珍しいなと思うのと同時に何かあったのではと少し心配になってしまった。
廊下に出たついでに自動販売機が設置されているスペースまで向かい、切れることのなかった通話に出た。

『どした』
「ごめん、仕事中に。俺のコントローラー知らない？」
『コントローラー？知らないけど』
「あれー？どこ行ったんだろ…」
『撮影あったっけハウスじゃないの？貸してたじゃんフジに』
「えー…あいつ持って帰ったぁ？まぁいいやレトさんに借りる…ごめん、仕事中に」

少し話して「すまん」と最後にもう一度謝罪を受けて電話を切る。
こんな時間から撮影は珍しいなと思いながらデスクに戻ろうと振り返ると、女性が一人立っていた。
彼女は確か、以前自分の真隣でキヨの話をしていたグループの一人だったはず。
明らかにキラキラとした瞳に、どう言い訳をしようか考えを巡らせる。

「やっぱりAくんだ！」
『…！』

活動名で呼ばれて思わず体がびくりと反応した。
幸い、この廊下には誰も居なかったものの、この女の非常識さに今すぐ逃げ出したい気持ちが募っていく。

「顔出しされてないけど声は似てるなぁってずっと思ってたんです！さっきたまたま電話してるのを見てやっぱりそうだったんだって！"フジ"って言ってましたもんね！？」

あぁ、苦手なタイプだと溜め息が出そうになるのを堪える。
誰が見てるかも分からない所でそんな大声を出して話さないでくれ。

『あの、何の話をされてるか全く分からないんですけど…そろそろ仕事に戻ってもいいですか？』

「へっ？」と間抜けな声を出してマシンガントークは強制終了させ、あくまで自分はAではないと言い張る。
もしこの女性に顔を晒されたりしたら確実に燃える。
そうなれば自分が写真撮影に応じる事は無いので確実に盗撮だから、大人の力を持ってして辞めさせるだけだが。

『失礼します』

人見知り全開で無愛想に頭を下げて、さっさとデスクに戻った。