友人4人と俺の話 (ページ18)

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第13話ページ18

『ぶぇっくしっ』
「きっ……たな…」
『は？』
「いや、反射で出ちゃった」

「ごめんごめん」と笑うフジからティッシュを受け取って鼻をかむ。
急に気温が変化したこともあるが、先日キヨの家へ行ってからどうも風邪っぽい。
何だかんだあれやこれやと世話をしていればそりゃあ移るよな、とキヨを責めるような事は言わないが。

『お前ら全員道連れなら風邪でもいっかな』
「辞めてくれるかい？俺来月イベントなんだわ」
『しゃーないじゃん移ったもんは。ていうかイベント？何処で？何で呼んでくんないの』
「うわー、やだやだメンヘラ。そうやって言うけどキヨ達のイベント見に行ってないっしょ」
『行ってない』
「ほらー、来ないじゃん」

あの時は仕事と活動で病んでいた時期なので、正直見に行く余裕もなかった。
疲れ果てたメンタルで界隈の違う友人らや家族に会うのは難しい。

『その夜病み散らかして酒飲んで酔った状態で打ち上げ行ったから』
「何してんのマジで」
『俺を置いて楽しんでんじゃねぇって泣き散らかしたらしい』
「恥だよそれもう。絶対来ないでね俺らの打ち上げ」
『トシちゃんに場所聞くから』
「やめてあの人優しいんだから」

後から聞いた話だが、酔っ払って泣き散らかしたAはガッチマンの言うことも聞かずキヨが一喝して大人しくなったらしい。
キヨは昔から情緒が不安定になるAの扱いは得意だったなと思い出した。
同じように目の前に居るフジもその点に関してはお手の物だろう。

『酔って絡むとキヨちゃんガチで嫌がるから。まぁ、今は酒飲んでないけど』
「確かに飲んでないね…やっぱ仕事のストレスでおかしくなってたの？」
『そうなのかなぁ、特にブラックな会社って訳じゃなかったけど…実況撮れなかったからなあ』
「そーいやAも元々は実況向きだもんね。キヨには敵わないけど」
『アイツは実況の為に産まれた男でしょ。完璧すぎんのよ』
「ストイックだけどねー」
『何かを高めるなら何かを犠牲にしないと上にはあがれないのよ、どんな事も』

『その犠牲が自分自身なだけ』と呟いてソファに寝転んだAは目を瞑った。
目を瞑ってから明らかになる体の気怠さ。
メンバーが揃うまで仮眠をしようとしたがパチッと目を覚まし、がばりと体を起こした。

「…っくりしたぁ、なにぃ？寝るんじゃないの？」
『いや、帰るわ』
「は？なんで？」
『体調不良！』

フジが困惑し止める声も虚しくAは「ごめんねー！」とそそくさと帰って行った。