第10話 ページ14
都内某所の室内アミューズメントパークにあるVRエリアに、男たちは立っていた。
左から順に牛沢、レトルト、ガッチマン、Aと並んでいる。
「みなさん。今日はですね」
声色は何時もと同じようだが、行動が落ち着いていないガッチマンはこの日が楽しみだったようで、柄にも無くはしゃいでいるようだった。
パーク内でも上位の人気があるこのVRエリアは、期間限定でサバイバルホラーのゲームが追加され、その先行プレイとしてTOP4が呼ばれた訳なのだが、何やら異変を感じてソワソワとしているメンバー。
その違和感の正体を暴くべく先陣を切って手を挙げたのは牛沢だった。
「あの、すいません」
「なんですか牛沢さん」
「一人知らない人居るんですけど…」
そう言ってAの方を見ると、バレたというようにガッチマンの影に隠れた。
「誰だお前！」と弄られるのもその筈で「TOP4」と呼ばれるメンバーは牛沢、レトルト、ガッチマン、キヨなのである。
「俺たちのキヨくんを返せ！」
「そうだ返せ！この犯罪者！」
「ひとごろし！」
『うるさい！！』
騒ぐ牛沢とレトルトに一喝するAに代わってガッチマンが事情を説明し始めた。
なんでも、キヨは昨夜から体調を崩してしまい無理が出来ない状態にあるので、Aに代打を変われないかと聞いたところ本来の予定を変更して来てくれたのだった。
「そういう訳なんで、今日はキヨの代わりにAが来てくれています」
「ありがとう犯罪者」
『いい加減にしろ牛沢。讃えろ』
「うっしーそろそろ怒られるよ。キヨくんに」
「寝込むあいつが悪ィだろ」
なんて会話をしながら、各々VRゴーグル等を装着し準備万端。
サバイバルホラーはA自身苦手では無いが、こういうゲームには指示厨と呼ばれるタイプのリスナーが増える為、ほとんどプライベートでやっている。
「それじゃあ皆さん今回は協力ゲーなんで頑張りましょう」
「コッワ！！ﾋｨ!もう動いてるよ！？」
「え、え？これ前の敵もう倒してもいいの！？」
『うわ！すっげー！VRすげー！がっちさーん！』
「みんな見えるね〜、動いてる動いてる」
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作者名：憐
| 作成日時：2023年8月18日 13時
