１９話 ページ19
キュッ、キュッとシューズと床が擦れる音が響く。
クラスメイトがバレーのミニゲームをやるなか、私はそれをぼぅっと見つめる。
そう、今は体育の授業中です。
昨日だけでかなり濃密な１日だったせいで、バレーボールが頭にぶつかって前世の記憶を思い出したことが、ずいぶん昔のことのように感じる。
またボールがぶつかったりしたら嫌だなあ。……さすがに２回目はないよね。
ちら、と体育館の半分──私たち女子が使っているのとは反対側のネットで仕切られたもう半分のコートを見る。
そっちでは男子がバスケのミニゲームをやっていた。
バレーよりはバスケのほうが好きだったりする。とくに理由はない。しいていうならバスケのほうが私に合っているというだけだ。
だから、ついバスケのほうを見てしまう。
「──わ、爆豪くんすごい」
プロ選手のようキレイなスリーポイントシュートを爆豪くんが決めた。
すごいなあ。私もあのくらいの運動神経ほしい。
シュートを決めてもしかめっ面の爆豪くん。その近くに緑色が目に入った。相手チームには緑谷くんがいるらしい。
ああ、緑谷くん。キミってどうしてこんなにも爆豪くんに狙われるような立ち位置にばかり行くんだろう。
そのまま試合は終わり、爆豪くんのチームが圧倒的な点差で勝利した。
……うん、まあこれは仕方ない気がする。言い方は悪いけど緑谷くんのチームはクラスの陰キャが集まったようなチームだし……
とぼとぼといった様子で緑谷くんがこちら側に歩いてきた。
「お疲れさま」
「わっ！？風見さんかあ……ビックリした」
「あはは、驚かせちゃってごめんね」
労いの言葉をかけたのだが、かなり驚いたらしく肩が大きく跳ねていた。
驚かせるつもりはなかったんだけど……
私がニコニコと微笑んでいると、緑谷くんも笑みを浮かべてくれた。
「風見さんは、ミニ試合出ないの？」
「ああ、私の出番はもう終わったんだ」
「そうなの？見ておけば良かったなあ」
「ええ〜？見ててもそんなに面白いものじゃないよ。私、とくに活躍しなかったし」
「でも勝ったんでしょ？」
「まあね」
お互い、ニヤリと笑う。
記憶を思い出すまでは、緑谷くんとこんなふうに話せるなんて思ってなかったな。
そこそこ話してたりはしたけど、友達ってわけじゃなかったし。
なんだか嬉しくなって、さらに笑みを深めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆花 - 食塩水さん» あ、ありがとうございます！注目のところの結構上の方にあるので……良かったらどうぞ！処女作で更新エグいぐらいに早いですが！題名一様書いときますね、「私の個性はアフロディテ。」といいます！ (2019年5月8日 7時) (
レス) id: 9cf03f9072 (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - 豆花さん» コメントありがとうございます！完全に自分の趣味を詰め込んだ作品だったので、そう言っていただけて嬉しいです！そうなんですね、読みに行きます！ (2019年5月7日 8時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
豆花 - 出久推しなので来ました。転生ものも好きです。来て良かったです！夢小説少ないので、更新頑張ってください！自分も頑張るんで！(出久落ちのものを書いているんです！) (2019年5月6日 21時) (レス) id: 9cf03f9072 (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - 華さん» コメントありがとうございます！たしかに緑谷くんの夢小説って少ないですよね……ご期待に添えるかは分かりませんが、出来る限りがんばります！ (2019年5月2日 19時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
華 - 私も、デク推しでなかなか小説では、ないのでとても嬉しいです！これからも更新ガンバ待ってください！ (2019年5月1日 10時) (レス) id: a9ff35acc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
