24.夏休み目前 ページ24
「ふぁ…」
今日から始まった定期テスト。
この私が普段からこまめに勉強などするはずもなく、いつも通り一夜漬けでこのあくびだ。
「ちょ、すっごいクマ。ちゃんと寝たの？」
カオリと電車に揺られながら、私はうっすら窓ガラスに写る自分見た。
「うーん…２時間くらい？」
「ばか。一夜漬けなんてするからじゃん」
「一切勉強してないカオリには言われたくない」
「あ、私ここだ。じゃあね〜」
カオリの最寄りの駅へ着いて、私の言うことなんざ聞こえないかのようにすたこらと帰っていった。
白々しいやつめ。
腕時計に目をやれば、まだ13時を指していた。
テストの唯一のメリットといえば、お昼で学校から解放されることくらいだ。
帰って少し寝てまた勉強しようかな…
幸い明日は現国と科学。
現国はノー勉強である程度点が取れるので科学一つに集中できる。
さて、もうひと頑張り。
自分の最寄り駅の名前が聞こえ、足を踏み出した。
「あっつ…」
外へ出るなり心の声が漏れた。
夏休みを目前とした今日この頃は平気で40℃近い気温を保ち続けている。
これが地球温暖化か。今からこんなんじゃ８月の猛暑が今から心配だ。
まぁ心配するだけで何か行動を起こそうなどとは毛ほども考えてないが。
私は無意識に影のある道へと誘われるように歩いてゆき、裏道のビル街の隙間へと入っていった。
この辺の路地裏は人通りも少なく、きもち涼しく感じる。
ほぼ無意味であろう若干の風を手をひらひらとさせ顔に送る。
「あっつい。」
そのとき、突然その手を誰かに捕まれた。
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作者名：しお
| 作成日時：2020年2月20日 20時
