箱入り少女 King&Prince (ページ23)

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23.ただの趣味ページ23

暁side

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いよいよあと数時間でライブが始まる。

舞台進行のリーダーに奄三を連れてくるよう頼まれたが、どこを探しても居ない。

たまたま衣装室の前を通りかかると、発声練習をする平野が居た。

「なあ平野、Aちゃん見てない？」

紫耀「A？Aならさっき帰ったよ」

「…え？」

いや、ちょっとまってくれ。本番が始まってすらいないのに帰ったのか！？

紫耀「今日は特典のカメラが密着してるから俺等と居れないしね」

「これから本番なのに…」

俺が呟くと、平野は表情を変えずに、少し強い口調でこう言う。

紫耀「別にAにとって”これ”は義務じゃないし、ただの趣味みたいなもんやろ。
　たまに居るんよな。勘違いしてるスタッフ」

「趣味って…」

「仕事でここに居るわけやないし、アイツはアルバイトでもスタッフでもないよ。」

平野の言葉をそこまで聞いて、俺はやっと理解する。

そうか。

ステージの進行や演出を考えるのは、あの子にとってはただの遊びみたいなものなんだ。

俺等が仕事としてやっていることを、あの子は自分の気の向くままにただの趣味として楽しんでいるんだ。

あの子にとってこれは仕事ではなく趣味なのだ。

「ほんっと、ぶっとんでんなジャニーズ」

俺がそう呟いたころには、平野は発声練習へと戻っていた。

彼女がステージへ戻って来たんじゃない。

きっとステージが彼女を引き戻したんだ。