群青のヒロイン (ページ46)

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46.階段ページ46

永瀬廉side

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「ねぇ廉、今日泊まり行ってもいー？」

「ムリ」

神宮寺の何気ない提案に俺は即答でNoと答えた。

もうすぐで５時限目が始まるので教室移動中の俺等は、今日も女子の視線を浴びながら廊下を歩く。

「即答かよ。なんで？親御さん来んの？」

「あーそうそう」

「じゃあ明日」

「ムリ」

「えー！なんで！！俺の事嫌いになった？？」

「暑い！引っ付くな！ムリなもんはムリや！」

「だからなんでよ！」

俺の家にある布団は自分のを含めて２セットのみ。

毎週Aが泊まりに来るようになってからは、神宮寺の泊まりは断っていた。

理由は単純。Aの寝た布団に神宮寺を寝かせるのが気に入らないから。

「え、まさか…廉、彼女！？」

「はぁ？」

「Aちゃんという子がいながら！」

「ッ声がでかいわバカ!!!」

咄嗟に勇太の口を塞ぐ。

こいつマジで…絞め殺したろうか！？

焦っている俺とは対照的に勇太はケラケラと楽しそう。

「冗談だってー」

「次アイツの名前出したら殺す」

「あ、あれAちゃんじゃない？」

「言った傍から…」

とか言いつつも、勇太の視線の方向を俺も追いかける。

友達と楽しそうに話しながら、階段を下りていた。

…いつも通りの笑顔だ。

すこしホッとして勇太のほうへ顔を戻せばニヤニヤ顔を浮かべていた。

「今日はポニーテールなんだねー」

「ニヤニヤすんな。そんでジロジロ見んな。」

「廉だって見てたじゃん！……って、ちょっ廉！」

勇太の表情が変わった。

先ほどとは打って変わって真剣な顔つき。

俺は慌てて振り返る。

そこには、階段の下で蹲っているAが居た。

よく見ると左膝を両手で抱えている。

それを目にした瞬間、教科書や筆記用具、持っていたすべてを勇太に押し付けて走り出した。