群青のヒロイン (ページ45)

今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:87,808 hit

45.いよいよ夏、到来ページ45

最近、永瀬先輩の様子がおかしい。

コンビニのバイト中、チキンを揚げながらモヤモヤと考える。

なんか…

なんとなくだけど

「あっち！」

ボーっとしすぎた。

目の前でぐつぐつと沸騰している油が私の指に飛んできた。

「どうした？」

表で前出しをしていたはずの永瀬先輩が早歩きでこちらへ向かってきた。

「あ、油が飛んできて…」

「あーもう馬鹿やなぁ、ボーっとしとるけやろ」

「ごめんなさい…」

「謝らんでええから、指見せてみ」

「はい」

なんだか、すっごく優しい!!!

いや、もともと優しいんだけど、特に最近は穏やかというかなんと言うか…

「せんぱい」

「ん？」

「ジュースおごって」

「は？なんでお前に奢らなあかんの」

「…やっぱなんでもないデース」

ジュースは奢ってくれないらしい。

いじけてそっぽを向くと、ちょうどその目線の先に花火大会のポスターが目に入った。

「そういえば、もうすぐで夏休みですね」

「お前、この間もそれ言ってなかったか？」

「そうでしたっけ？」

「花火やったらこっから見えるで。会場すぐ近くやからな」

「ほんとですか！楽しみ～！」

花火大会か。

確か二日間あって、二日目に花火が上がるんだよね。

楽しみだなぁ

.

.

「あ、先輩！さっきすごいレアなの見つけちゃったんですよ。」

「おー、これ旧千円札やっけ？珍しいやん」

「なんかおもちゃみたいですねー」

「野口に見慣れてると違和感あるな」

「…この人誰でしたっけ？」

「夏目漱石」